【ガンズリポート】シゴトを語る #11 ユースアカデミートレーナー・本山貴一さん

予防大切に選手の健康管理

トレーナーはひと言でいうと、選手の健康を管理する人です。けがをした時の応急処置から、その後のケア、リハビリまで行います。けがをしないように予防も考えます。
アカデミーは、プロの選手を育てるのが目標です。そのために、選手がプレーできる時間を長くしてあげたいと思うと、予防がより大事になります。プロになってからも、けがをしにくい体でいてほしいですから。
身体に手を加えなくていいという考え方もありますが、私は体を触って分かることがあると思っています。それで防げるけががある。筋肉の固い部位にソフトボールを当て、ゴロゴロさせるといったケアの仕方を教えることがあります。
自分で自分の体を守れるようになってほしい。ウオーミングアップや柔軟運動、練習後のアイシング…。アカデミーの子たちは面倒くさがりがちでしたが、私がここに来て3年目になり、だいぶ習慣化してきたと感じます。寮内でストレッチをしたり、練習前に体幹トレーニングをやったりする選手を見るようになりました。
小学4年から高校生までを1人で担当しています。大変ですが、すごく楽しい。サッカーを仕事にしているというやりがいもあります。
松本で生まれ、小学1年生で安曇野に引っ越してからサッカーを始めました。山雅を応援しにアルウィンにも行きました。その頃の観客は1000人くらいでした。
高校生まででプレーを終え、将来を考えた時、頭に浮かんだのは、「人に感謝される仕事をしなさい」という父の教えと、自分がお世話になってきた整骨院のことです。父の言葉と、患者から「ありがとうございました」とお礼を言われていた光景が結びつきました。
トレーナーという仕事を知ったのは、柔道整復師を目指して大学に入ってからです。「公認アスレティックトレーナー」という資格を、みっちり勉強して取得しました。
大学を卒業してすぐに、大分トリニータが提携する治療院で3年修業した後、松本大サッカー部のトレーナーになり、2020年に山雅に来ました。
田中想来、稲福卓、神田渉馬の3選手が、トップチームでプレーするようになりました。自分も微力ながら、関わった選手がプロの舞台に立っているのをうれしく思います。
昔とは比べものにならない数のサポーターに、自分が関わった選手が応援される姿を見るのは、うれしいです。今後もそういった選手が、たくさん育ってほしいと思います。