FW榎本 得点機拡大に光
松本山雅FCのセットプレーに新しいオプションが加わった。スローインを直接ゴール前に放り込むロングスローだ。シーズン最終盤に加わった飛び道具は、J2残留に貢献するか。
レノファ山口戦の開始早々、敵陣左で得たスローイン。いつもならMFが入れるところで、FW榎本樹がボールを持った。186センチの体を思い切りそらせて投げ入れたボールは、目の前の相手を軽々超え、ゴール前のDF常田克人に届いた。
榎本は、後半にも同じような場所からロングスローを試みた。タオルで入念に拭いたボールは、やはり常田の頭へ。シュートにはつながらなかったが、あわやという場面をつくってみせた。
ロングスローは、キックに比べて速さは劣り、ヘディングしても強いシュートになりにくい。代わりに正確性は高い。守る側からすると、不慣れな軌道や速さへの対応を強いられる。ゴール前の混戦を生みやすい特徴がある。
榎本のロングスローは、山口戦に向けた全体練習で試していた。セルジーニョが蹴るCKやFKと同じように、ゴール前での選手の位置取りを確認しながら、榎本が投げていた。
迎えた本番。試合早々から挑んだのは本人の判断だったようだが、「開始からすごい距離が出ていた」と名波浩監督。実戦で通用することを示した。
J2に残れるか、状況は窮まるばかり。「泥臭くても何でも勝てればいい」と名波監督。可能性を広げるため、あらゆる手段を探っている。