【像えとせとら】山紫水明(松本市島内)

パイプオルガン?常念と渓流表現

早朝に通り掛かった島高第一公園。まだ暗い中、ひときわ光を放つ物体が目に飛び込んできた。連なるステンレスの円筒は、何かを模したモニュメントだろうか。同じ島内に、県内随一の大型パイプオルガンが設置された市音楽文化ホールがあるから、きっと…。
そんな想像をしながら、明るい時間に公園へ。直径8センチほどの長さの違う円筒が曲線を描きながら並び、同じ形状のものが2組、表裏で組み合わせてある。一番長い筒は、台座を含めた高さが約3メートル。
モニュメントのテーマは「山紫水明」。雄大な北アルプスの山々とその渓流をイメージし、常念岳をデザインしたと銘板にある。パイプオルガンではなかった?2003年、島高第一土地区画整理事業の完了を記念し、建てられたという。筒の上下の色がグラデーションになっている。冠雪の常念岳を表現したのだろうか。
同事業組合の理事を務めた上嶋良三さん(81、島内)によると、地域から美しく見える常念岳の姿をモニュメントに―と、写真に撮って業者に渡したという。区画整理後に建物ができ、この公園から常念岳は見えなくなった。「建てておいてよかった」と上嶋さん。
デザイナーが音文ホールのパイプオルガンを意識したかどうかは分からないが、美しい景色も音楽も人の心に響く。ともに島内地区の宝物だ。