「お達者通信」島内の馬場雄治さん 手作り地域の魅力発信

松本市の島内公民館に入ると、入り口近くの壁に、生き生きとした人たちの写真や、カラフルな題字などが目を引く「お達者通信」という印刷物が張られている。島内高齢者クラブ連合会会長の馬場雄治さん(82、島内)が昨秋から、手作りで制作を始めた地域の“広報紙”だ。新聞記者だった経験を生かし、意欲的に活動するお年寄りの姿などを伝えている。

新聞記者の経験生かし

地域の広報活動の役割を担う「お達者通信」は、地元の人たちが「元気に健康に過ごしてほしい」との思いを込め、昨年9月に、島内公民館や島内高齢者クラブ連合会の許可を得て、第1号を制作。これまでに3号発行した。
A3判。同公民館や連合会主催の催しを振り返ったり、人物紹介やイベント告知などを掲載したりしている。同公民館入り口の掲示板と1階ロビー、河西部地域包括支援センターの3カ所に掲示し、地域の人や職員から好評を得ている。
馬場さんは「島内地区は催しが活発で、意欲的に活動する高齢者がたくさんいる。そんな魅力を地域の人に知ってもらいたい」と制作を始めたきっかけを話す。「見てくれた人が楽しめるように」と、文字だけでなく色使いや写真の配置も考えるこだわりようだ。
催しの様子の振り返りやイベント告知などをすることで、新たな参加者を増やし、臨場感のある写真を掲載することで楽しさを伝え、参加者のやりがいにつなげるという相乗効果も期待する。
大手新聞社の記者として長年働いた経験から、催しの現場で参加者の話を聞き、写真撮影などをする取材は、手慣れたものだ。

退職後は、最終赴任地だった松本市に定住。約30年がたち、書道や絵画、陶芸と趣味の幅も広げ、地域に積極的に関わることで仲間が増えたと喜ぶ。
「松本のような地方都市は人や地域が都会よりも身近に感じられ、新しいことにも取り組みやすい」といい、「(お達者通信は)工夫次第でいろんな可能性がある。短命で終わらないようにこれからも継続していきたい」と意気込む。傘寿を過ぎた「元記者」の新たな生きがいだ。