人から人へ「いい物」つなぐ喜び―「ヴィンテージストック」経営・草間さん

松本市神田の草間啓介さん(75)は、オーディオ機器や古着などをネット上で買い取り、販売する会社「ヴィンテージストック」を経営している。20代の頃から音楽鑑賞が趣味。特に映画音楽が大好きで、サウンドトラックのレコードを真空管アンプで聞いていた。「アナログの音は柔らかく体に染み込む」。自分の好きな物を再び誰かに使ってもらう―。この喜びを得るための仕事だ。
オーディオの買い取り販売の会社を立ち上げたのは、2016年、68歳の時だ。息子でウェブサイト制作などを手がけるウェブエイト(同市神田1)社長の淳哉さん(46)がホームページを作り、ネット上で買い取りができる仕組みを構築したことが背中を押してくれた。
デノン、ラックスマン、マランツなど、「オーディオ通」が喜びそうなメーカーの機器を主に扱う。
「古くてもいいものは、いつになってもいい。だんだん物が少なくなっており、特にグレードの高い製品は貴重」という。
レコード人気の復活の気配はあるものの、音楽の世界はデジタル全盛。若者はスマートフォンに配信される音楽を聞く。それでもアナログにこだわるのは、「本物の音を求めているから」。大きなスピーカーを通して流れてくる音と、スマホから流れてくる音とでは違いは歴然。その違いに価値があるのだ。
また、アナログのオーディオは今後ますます減っていくという危機感もあり、「いい物を巡らせる」ことの意義を強く感じている。
「いい音は心を、生活を豊かにしてくれる。『酒を片手に、レコードでジャズ』といった楽しみも広がる。若い人にもぜひいい音で聞いてほしい」と力を込める。
「物を巡らせる」この事業をさらに発展させるため、会社を法人化。4、5年前からドローン、自転車のロードバイクを、昨年からは、古着を取り扱うなど、ラインアップも増やした。
「楽しめるもの、いいものだけを扱いたい」というのが草間さんの一貫したこだわり。「自転車など、趣味の世界のものはどんどんランクアップしたくなり、まだ使えるいいものが不要になるケースもある」と、趣味を持つ人の心理をしっかりつかみ、服は普遍的な人気のある有名ブランドのものだけを買い取っている。
「一級品、名品をためる」を意味する社名にも、そんな思いが込められている。
出張買い取りも引き受ける。ヴィンテージストックTEL0120・702・708