さらなる高み挑戦続け6年目―スキー「プライズテスト」合格目指す69歳

全日本スキー連盟(SAJ)が定めるスキーの技能テスト「バッジテスト」。大桑村の振田(ふった)正さん(69)は、1級よりさらに難易度の高い「プライズテスト」に挑戦して6年目。20代半ばで1級に合格し40年以上たつが、さらに高みを目指して、今でもゲレンデに通う日々だ。

20代で1級合格 定年機に再始動

1月27日、木祖村菅のやぶはら高原スキー場。雪が舞うゲレンデを振田さんが滑ってきた。「去年より1点でも2点でも多く取れるようになりたい。そのためにはターン後半の切れが課題」と自己分析する。
同スキー場のシーズン券を購入し、週3回ほど通う。この日は県外から訪れた仲間と合流。プライズテストの合格者もいて、技術を教わったり雑談をしたりしながら滑りを楽しんだ。
大桑村出身。小学生の頃は、スキーは授業などでシーズンに4回ほど滑った。社会人になり職場でスキー仲間ができたこともあり、本格的に取り組んだ。腕試しに受験した「検定1級」に26歳で合格した。
その後は目標を持たずにいたが、9年前の定年退職を機に本格始動。コースの変化に富み雪質も良い同スキー場に通い、レストハウス「鉱泉ヒュッテ」を利用する常連同士で仲良くなった。
仲間の中には1級のさらに上の「テクニカルプライズ」、最高峰の「クラウンプライズ」の合格者もおり、刺激を受けた振田さんは自身も挑戦を決意。1人で滑ったり仲間にアドバイスを受けたりしながら技術を磨いてきた。

合格率1割以下 応援励みに鍛錬

プライズテストは、急斜面での大回り、小回り、不整地の小回り、総合滑降の4種目があり、合格点はテクニカル300点(75点×4種目)、クラウン320点(80点×4種目)以上。受験の年齢制限はなく合格率は数%という狭き門だ。
振田さんは同スキー場など2会場で毎年、受検。昨年は得意な不整地の小回りで転倒するなど、思うように滑れず合格には6点ほど足りなかった。
こうした振田さんを応援している鉱泉ヒュッテオーナーでスキー指導員の辺見元孝さん(63、木祖村)は、滑りを指導し、動画を撮影。合格を目指す「フッタロード」と題してユーチューブに公開している。辺見さんは「チャレンジ精神がすごい。挑戦し続ける人生を送る先輩として目標になる」と尊敬のまなざしだ。
今年の検定は今月末と3月初旬。「スタート前の緊張感は格別で滑走後は爽快。体力のあるうちは挑戦し続けたい」と意気込む振田さん。仲間の応援を励みにターンの切れを磨く。