種類豊富味も多彩 蜂蜜をもっと知ろう

ハチミツの会で西牧社長に聞く

蜜源植物に恵まれた長野県は蜂蜜の生産量が全国トップクラス。一口に蜂蜜といっても、ミツバチが集める花による違いや製造方法などによりさまざまな種類があり味も多彩だ。蜂蜜をもっと深く知ろう─と、チーズ専門店「ジュレ・ブランシュ」(松本市大手2)が11月11日に開いた「ハチミツの会」を取材した。
講師は西牧養蜂園(松本市梓川梓)社長の西牧穂高さん(65)。西洋ミツバチを飼育し、市内外の数カ所で5~9月に10種類ほどの蜂蜜を採取。冬季はミツバチの箱を寒い松本平から知多半島に移動している。
西牧さんによると、日本で蜂蜜の生産量が多いのは長野と秋田県、北海道。流通している蜂蜜の95%以上が輸入品でその中で中国産が最も多い。近年は天候不順で世界的に蜂蜜が不足しており、さらに一大産地だったウクライナが戦争で生産できなくなった影響も出ているという。
蜂蜜は加工方法で、自然のままの「純粋蜂蜜」、色素、香りなどを除去した「精製蜂蜜」、人工的に糖分を添加した「果糖蜂蜜」の3種類に分かれ、これらはラベルに表記される。また非加熱と加熱処理したものがあり、いわゆる「生蜂蜜」は非加熱で、加熱処理したものより、蜂蜜本来の成分が多く残っているという。
蜂蜜の糖分は主にブドウ糖と果糖。ブドウ糖と果糖の割合は花の種類で違い、ブドウ糖が多いと固まりやすい。成分にはビタミンやミネラル、酵素も含まれるが、酵素は45度以上で壊れ始めるので熱い飲み物などに入れたり、固まった蜂蜜を湯煎で溶かしたりする場合は温度に注意だ。
また、1歳未満の乳児は腸内環境が未熟なため蜂蜜にボツリヌス菌が混入していた場合、菌が腸内で増える「乳児ボツリヌス症」を起こすことがあるので、蜂蜜や蜂蜜入りの食品は「与えないで」と呼びかけた。

常温2~3年新鮮なうちに

試食では、アカシア、リンゴ、百花蜜、菩提(ぼだい)樹(シナノキ)、ソバ、山桜の持参した6種類の生蜂蜜のそれぞれの特徴を説明。西牧さんは「ミネラルが多いと色が濃い。色の濃さは味の濃さにも通じるので選ぶ際の参考にして」などとアドバイス。
くせの少ないタイプは料理に合わせやすく隠し味にも向いており、くせの強いタイプは濃い味の料理のこく付けなどとして工夫して使うのも面白いとし、参加者はそれぞれの生蜂蜜の味を確かめながら6種類のチーズとの相性を体験した。
西牧さんは、健康志向やグルメへの関心の高まりで県内外から生蜂蜜への問い合わせが増えているとし、「長野県は良質な生産地で中信地区は特に養蜂家が多い。種類が多いのもこの土地ならでは。ぜひ生活に取り入れてみて」と勧めた。
ちなみに蜂蜜の賞味期限は、常温保存で2~3年だが、新鮮なうちに食べる方がおいしいという。