信大病院「頭痛外来」開設9カ月

痛みに悩む人 予想以上に

信州大病院(松本市旭3)に「頭痛外来」ができて9カ月がたった。診察枠は今も4カ月先まで埋まっており、頭痛の悩みの広がりがうかがえる。これまでの診察例を分析した担当医師は、改めて正しい医療につながる大切さを訴える。

受診者の大半は片頭痛

つらいけれど、どこにかかればいいか分からない。そんな人の受け皿に|と開設したのが昨年5月だった。「予約が埋まるのかと思ったが、頭痛外来と銘打った効果だろう」と脳神経外科の花岡吉亀医師。思った以上に多くの人が頭痛で困っていた。
一般的な頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛に分かれる。片頭痛は、周囲の刺激に敏感で、動くと悪くなる。逆に、動くと気にならなくなるのは緊張型だ。
昨年末までに診察を受けたのは199人。4分の3が片頭痛だと分かった。そのうち、月に4日以上、生活に支障が出る人には予防注射薬を処方することがある。この頭痛外来でできる最新治療の特徴だ。
ひどい痛みがほとんどなくなる人もいる一方で、それほど効果のない人もいる。症状が重くなるほど効きにくくなる傾向が確かめられたという。
中でも治療が難しいのが、薬の飲み過ぎで陥る「薬物乱用頭痛」だ。「飲んだら楽になるから」と薬を頻繁に服用するうち、「飲まずにいられない」という段階に。やめるとひどい頭痛が何日も続くようになってしまう。
市販の痛み止めでも起こり、月に10日以上服用するようなら要注意だ。初診時の「患者教育」で教えると、「そんな病気があるんだ」とたいていの人が驚くという。
やっかいなのは、薬物乱用を含め、頭痛について知識の乏しい医師が診断するケースがあること。「いろいろなところを回った末に困ってここに来たという方もいる」という。
「片頭痛は慢性化する前に来てほしい。月に3日以上、痛みで生活に支障が出るようなら診察を受けて」と花岡医師は呼びかける。
診察は、月、火、木、金曜を脳神経内科医が担当し、水曜は脳神経外科医。完全予約制で、かかりつけ医の紹介のほか、同病院外来予約センター(TEL0263・37・3500)で受け付ける。

4月に市民公開講座
脳の病気の最新治療法 信大病院の取り組み解説

片頭痛など脳の病気の最新治療法について、信州大医学部脳神経外科教室が4月に市民公開講座を開く。県内や国内の医療機関に先駆けて信大病院が取り組んでいる治療法について解説する。
テーマは四つ。(1)てんかんは、専門の治療部門ができ、難治性でも手術で回復を目指せる(2)脳卒中は、頭部を傷つけないカテーテル手術が進んでいる(3)脳腫瘍は、手術中に使う磁気共鳴画像装置(MRI)を導入し、腫瘍の取り残しをなくせる(4)片頭痛は、コントロールができる─といった内容。
どのテーマも一般の人が専門の最新知識に触れる機会になり、当事者は自分の治療の選択肢を増やせそうだ。座長を務める同教室の堀内哲吉教授は「誰でも少しでも脳に興味があれば来てもらいたい」と話す。
4月9日午後1時半~3時半。松本市水汲のキッセイ文化ホール。無料。事前申し込み不要。同教室TEL0263・37・2690