食事療法士・日本食事療法士協会代表・辻野さんに聞く―暑さを乗りきる食事と注意点

朝晩は少しは涼しくなったが、まだまだ続く今年の異常な暑さに、心身共に疲れがたまる頃。食欲
がない、体がだるいなど、夏ばて気味の人も多いのでは?健康の基本は食事。夏ばてを克服するにはどんな食事がいいのか。食事療法士で、日本食事療法士協会(東京都)の辻野将之代表(45、安曇野市穂高)に、この時期に気を付けることなどを聞き、食欲が湧くレシピを教えてもらった。
食事療法士は、生活習慣病の予防や毎日を健康で美しく過ごすためのヒントを伝えたり、東洋医学的な視点で患者の食生活をカウンセリングし養生方法を厳選したりなど、食と養生の専門家だ。

【精を付ける】暑くて食欲がないと、ついつい口にするのがアイスクリームや冷たいジュース。辻野さんは「カロリーは補給できるが、栄養バランスが崩れ、心身の力の『精』が不足します」とし、「疲れた時は『精の付くものを食べましょう』と言います。精は生きるエネルギーです」と力説する。
精が付く食べ物とは、取れたての旬の野菜がその一つ。今の時期だと、ナス、カボチャ、キュウリ、トマトなどで、取ってから時間がたつと、その食材の命が劣化する。調理後の時間の経過も同じという。

【熱中症予防】水分補給を勧めるが「取り過ぎには気を付けて」と辻野さん。余分に取ると体に水がたまり、むくむ、体が重い、だるい、やる気が起こらないといった症状が出るという。
水などを飲む際は、一気飲みではなく、「ちびちび飲み」が効果的。一方、冷房の効いた部屋で、水分は取るが、運動もせず、汗もかかないと、需要と供給のバランスが崩れて「水毒」という状態になると注意を促す。

【食事を工夫する食養生】全体の8分の5を穀物、8分の2を野菜類、残りを肉や魚、卵など動物性の食物で取るというのが食養生の基本的な考え方。また、一口ごとに十分にかむことも基本で、辻野さんは「健康な人は体本来の機能を使う食事をしてほしい。玄米を硬めに炊き、よくかんで食べるのもお勧め。何をどのように食べるかを工夫することが大切です」とアドバイスする。

夏ばて克服に!食欲が湧くレシピ

★トマトカレー
【材料2人分】
ジャガイモ…1個
ナス…1本
玉ネギ…大1個
ニンジン…1本
トマト…大4個
ニンニク…2かけ
油…大さじ2~3
カレールー…適量
【作り方】
①玉ネギ、トマト、ニンニクはみじん切りにする。
②ジャガイモ、ナス、ニンジンは食べやすい大きさに切る。
③鍋に油を入れて熱し、玉ネギ、ニンニクを炒める。
④③にジャガイモ、ナス、ニンジンを入れて炒め、トマトを入れ、ふたをして柔らかくなるまで煮る。
⑤ルーを入れる。
【ポイント】
水を使わず、トマトなど野菜の水分でつくるカレー。カボチャやズッキーニなどの野菜を使ってもOK。好みで肉を入れても。

★キュウリのたたき
【材料2人分】

キュウリ…3本
ごま油…大さじ1
しょうゆ…小さじ1
塩…ひとつまみ
【作り方】
①キュウリはすりこぎ、麺棒などでたたき、一口大に切る
②調味料を合わせ、①とあえる
【ポイント】
適量ののりをちぎって振りかけてもおいしい。

★とろろ昆布と梅干しのおにぎり
【材料1つ分】

玄米ご飯(なければ白米でも)…ご飯茶わん1杯
梅干し…1個
とろろ昆布…適量
塩…適量
【作り方】
①水でぬらした手のひらに、塩をなじませる。
②玄米ご飯の中に梅干しを入れてにぎる(にぎってから上に載せても)
③②をとろろ昆布で巻く。
【ポイント】
玄米ご飯は硬めに炊いて。