なかじま歯科医院中島潤子院長に聞く─口呼吸の改善法は?

体操やマウステープで

あなたは口呼吸?鼻呼吸?こう聞くと、ほとんどの人が「鼻呼吸」と答えるが、実は10人に8人が口呼吸だという。普段、無意識に行っている呼吸。口呼吸は、さまざまな体の不調を引き起こすらしい。口呼吸はなぜいけないのか、どうやって改善すればいいのか─などを歯学博士でケアマネジャー、MBA(経営学修士)、認定フェムテックシニアエキスパート、息育指導士でもあるなかじま歯科医院(松本市会田)の中島潤子院長に聞いた。
鼻から吸って鼻から吐くのが鼻呼吸。口から吸って口から吐く、または鼻から吸って口から吐くのは口呼吸だ。
鼻呼吸と比べ口呼吸は、吸い込める酸素量が10~15%減り、頭痛、肩凝り、睡眠障害、夜間頻尿、血圧や血糖値の上昇、不整脈などが起こる。さらに口が乾くため、歯周病や虫歯、ドライマウス、せき、誤嚥(ごえん)性肺炎などにもつながる。慢性上咽頭炎も発症することがあり、目まい、耳鳴り、アレルギー・アトピー性皮膚炎といった体調不良を引き起こす。
最近はコロナ禍でマスクをするのが日常的になり、口呼吸の人の増加に伴い、こうした不調を訴える人も増えた。
また睡眠時に口が開いていると、舌が気道をふさぎ、いびき、睡眠時無呼吸症候群などの原因になる。
「万病のもと」ともいえそうな口呼吸について中島院長は、「舌は上顎に付いているのが正常な位置だが、舌の筋力が弱いと舌が下がり口呼吸になりやすい」と原因を解説する。
では、改善するにはどうしたらいいのか─。中島院長はまず、顔と舌の筋肉を鍛え、口呼吸を予防する「あいうべ体操」を推奨。「1日30セットを目標に頑張ってください」とアドバイスする。
次に睡眠時の口呼吸を防ぐには、口が開かないようにテープを貼る「マウステープ」が有効とし、「テープは肌荒れせず、毎日使えるものなら何でも。うちでは、お手頃なサージカルテープをお薦めしています」という。
「鼻うがい」は、鼻通りがよくなり、慢性上咽頭炎を改善できるうえ、花粉症やアトピー性皮膚炎、肩凝り、原因不明の歯痛などに効果的という。上咽頭を洗浄し、炎症を抑える「ミサトールリノローション」もある。
同医院では、マウステープを実践している人は約千人、鼻うがいは約380人おり、ミサトールリノローションは85人が使用。これらの人数は全国で一番多いといい、頭痛、肩凝り、掌せき膿疱症(のうほうしょう)、夜間頻尿、花粉症、アトピー性皮膚炎、リウマチなどが改善し、自律神経や血圧、血糖値にも好影響があったケースも多い。
中島院長は「口呼吸が原因で不調が起きることはあまり知られていない。病院で診察してもらっても、よくならなかったり、年のせい、女性特有、更年期障害、自律神経失調症などと診断されたりするケースが多いのです」と現状を説明する。
体の不調の原因が口呼吸にあり、マウステープや体操など、簡単なセルフケアで改善され、日常生活が健やかになれば、とてもうれしいことだ。