【ガンズリポート】山雅J2復帰へ再スタート─下條佳明SDに聞く

待ち遠しかった今季のサッカーJ3リーグが今週末、いよいよ開幕する。松本山雅FCは5日、新加入の奈良クラブと敵地で対戦。新任の霜田正浩監督(56)をはじめ、新たな戦力を加えたチームが、昨季果たせなかったJ2復帰を目標に再スタートを切る。

今季の戦いはどうなる? ─ 下條SD「 勝ち続けること考える」

開幕戦に向かう山雅の仕上がりはどうなのか?今季はどんな戦いを見せてくれるのか?チーム強化の責任者である下條佳明スポーツダイレクター(SD、68)に聞いた。
私は現場にいる時間の方が長く、今年も始動からキャンプまでずっとチームを見ています。現在地は、やろうとしていることに向かって、想像以上に進んでいます。
今の選手は真面目で、納得感があると集中し、パフォーマンスが上がります。キャンプで選手は疲れていましたが、目は輝いていて、食事会場の会話一つとっても明るい雰囲気がありました。若くて経験がない選手が、短期間でずいぶん変わりました。今季こういうサッカーをやるんだと、分かりやすい進め方になっているからです。
新しい監督とコーチは、主に私が招聘(しょうへい)しました。ボールを握って(支配して)相手を崩してゴールを生む、守備でも奪いどころにボールを持っていく―。われわれの意図することを表現するために、霜田正浩監督を招きました。
目の前の勝負に勝つのはもちろんですが、勝ち続けることを考えたい。われわれのゲームプラン通りに進んだという成功体験を重ね、相手の分析や対策にも負けない、絶対的なものを持ちたい。
そういう意味で、以前に私がいた横浜F・マリノスは、深いものを持っています。Jリーグの創設メンバーで、J1から一度も降格したことがない強者のメンタリティーは、人が代わってもクラブに刻み込まれています。そういうものを、山雅でもつくっていければ、成績は右肩上がりになり、J2、J1へとつながっていく。今やっているのは、その権利を得るための取り組みです。
ファン、サポーターの皆さんには、戦いに挑む現場のテンションを、スタジアムで感じてほしい。「こんなの面白くない」と思えば、率直に伝えてもらっていい。良ければ足しげく通い、選手の背中を押してほしいと思います。
サンプロアルウィンは劇場です。2001年に完成した時、最初にキャンプをしたのがマリノスで、私も来ました。すごいスタジアムができて、地域のサッカー熱が上がりました。もっともっと熱い劇場にしたい。そのための演者が山雅の選手で、いい演技、ハイパフォーマンスを披露して、喜んでもらいたいと思っています。
変えないと、将来につながっていきません。山雅のサッカーはこうだ、というのを示す1年にしたいです。

【しもじょう・よしあき】
1954年、松本市生まれ。選手として松本県ケ丘高、早稲田大、日産自動車(J1横浜F・マリノスの前身)でプレー。引退後、横浜Mなどでコーチや監督を務めた。強化責任者としての経験が豊富で、横浜MがJ1で優勝した2003年はゼネラルマネジャー(GM)を務めた。名古屋グランパスのGMを経て、21年シーズン後に山雅のテクニカルダイレクターに就任。今季からスポーツダイレクター(SD)としてトップチーム強化本部を統括する。