【ガンズリポート】マッチレビュー 34節・5日 山雅1-0北九州

復活の山口「腹で打つ」

この試合唯一の得点はオウンゴールだった。松本山雅FCのMF山口一真が鋭く放ったクロスが、相手のミスを誘った。前の試合で山雅での初得点を決めた27歳。過去の大けがを感じさせない力強いキックが、シーズン終盤のチームの武器になっている。

2度の大けが経ても力強いキック武器に

後半5分、山口が左サイドから右足で蹴り込んだボールが、DF野々村鷹人の頭をかすめ、相手選手に跳ね返ってゴールに入った。「いいボールだった」と山口。冷静な口ぶりで自画自賛した。
2020年に左膝の靱帯(じんたい)を傷め、昨年9月に今度は右膝の靱帯を断裂した。今も膝の感覚はけがの前と違い、太ももの筋肉は戻らないという。
それでもチーム随一のキックを蹴る。前節のSC相模原戦ではGKの頭上を射抜くゴールを決め、エース小松蓮に「魅力的なシュート」と言わせた。
昨季、期限付き移籍していたJ2町田ゼルビアで、蹴り方を変えたという。「脚で打つな、腹で打て」とコーチから助言を受け、体の重心を意識して脚を振るように。2度目の大けがを経た今も「いい感覚で打てている」という。
「(古傷のハンディを)どう補うか考えないと生き残れない」。大卒でJ1鹿島アントラーズに入り、ルーキーでゴールを決めてから5年。ままならない時間を過ごして迎えた中堅の立場に危機感がある。体力を取り戻すためのランニングも、居残りで地道に続けている。
「本来のプレーのフィーリングになってきた。自分でも楽しみ」。小松が累積警告で不在の次節は、得点の期待がますます高まる。