柚木沙弥郎さん追悼展

1月末に101歳で死去した染色家柚木沙(ゆのきさ)弥郎(みろう)さん(東京都出身)の追悼展が29日まで、松本市県3の旧制高等学校記念館ギャラリーで開かれている。旧制松本高校の卒業生で松本とゆかりが深かったことから、同館が急きょ企画した。
展示は松高校舎の重要文化財指定記念などの手拭い3点、同館のイメージキャラクター「バンカラ君」、初めて手がけた絵本「魔法のことば」、同館が販売する絵はがきセット(8枚)のうち「嗚呼(ああ)青春」をはじめ3点の原画など計27点。
中には清酒のラベル、カステラの箱といった商店などに提供したデザインも。
「柚木さんは民芸の精神を受け継ぎ、松本に愛着を持ってくださった。躍動感があり、ほっこりとする独特のデザインから、在りし日の姿をしのんでほしい」と同館学芸員の鈴木美恵さん(58)。
追悼展は第1弾。次回は「工芸の五月」に合わせて企画したいという。
柚木さんは松高から東京帝国大(現東大)に進み、終戦後、大原美術館(岡山県)に就職。その後、日本民藝館(東京都)館長だった柳宗悦(やなぎむねよし)から染色家の芹沢銈介(けいすけ)を紹介され、染色を学んだ。ポスター、イラスト、版画など幅広い仕事に取り組み、近年は国内やフランスなどで個展を開催、2020年には松本市美術館で「柚木沙弥郎のいま」展を開いた。
入場無料。午前9時~午後5時。月曜休館。同館TEL0263・35・6226