ポン・ブルックス彗星撮影(松本市の美ケ原高原)

暮れなずむ西南西の宵の空低く、輝くポン・ブルックス彗星=ニコンD5、ニッコール AF-S 1200ミリ超望遠レンズ 3月29日午後7時19分

捉えた 一生に一度のチャンス

四季折々、輝き巡る星空は美しい。そこにダストとイオンの尾を引いて、ほうきのように見える彗星(すいせい)が現れるとしたら、天文フアンならずとも心が躍る。
この春、一生に一度の彗星の観望と撮影チャンスが巡って来た。「ポン・ブルックス彗星」だ。約70年の周期で太陽に近付く彗星である。
1812年にフランスの天文学者ジャン・ルイ・ポン(ポンス)により発見された。その後、一時姿が見えなくなったが1883年、米国の天文学者ウイリアム・ロバート・ブルックスに再発見され「ポン・ブルックス彗星」と呼ばれる。
3月29日午後5時半、撮影は少しでも暗い場所をと美ケ原高原思い出の丘(松本市)へと急いだ。黄砂もなく北アルプスの山際まで晴れている。「今日は撮れるかも…」と予感が走る。
6時41分、大型三脚に1200ミリ超望遠レンズ付きカメラを据えた。この彗星は5~6等級で肉眼での観望は難しい。
6時19分、彗星の位置の目安、明るい木星を起点に右寄りのおひつじ座2等星「ハマル」を捜す。アラビア語で「羊」を意味する星の名だ。ついにカメラで捉えた、宵の空を飾るポン・ブルックス彗星。次に巡る70年後の日本は、世界は?人類の幸せを祈り撮影を終えた。

(丸山祥司)