荘厳の穂高連峰と満月が暁のコラボ(塩尻市片丘)

日本初の小型無人探査機が月面着陸に成功後、初めての満月が穂高連峰に絡み、神秘的な雰囲気を際立たせる=ニコンD5、ED AF-S ニッコール400ミリ、1月26日午前6時58分

松本平最南から望む幽玄神秘な光彩

氷点下9度と冷え込んだ塩尻市片丘の東山山麓線「しののめの道」沿い。1月26日午前6時58分、赤銅色のモルゲンロートに染まる北ア穂高連峰に満月が絡み、幽玄神秘な光彩を際立たせた。
刻一刻、薄雲をまとった奥穂高岳(3190メートル、写真中央)山頂に、上空約45度から満月が迫る。左側に薄雲が消え、神々しく輝く前穂高岳(3090メートル)。山頂から右下へ八つの峰の「前穂高岳北尾根」が延び、左側は明神岳へとのこぎり刃状のピークが続く。神棲(す)む山を連想させる山容は、神前の御幣(ごへい)さながらだ。里からこの絶景を観望できるのは、松本平最南の塩尻市からである。
朝焼けの穂高連峰が放つ暁の強力な波動に包まれながら、今年最初の満月を仰ぐ。少し黒ずんで見える「海」と呼ばれる月模様が浮かび上がっている。「うさぎの餅つき」模様の二つの耳部分の細い側(写真では左側)の「神酒(みき)の海」に目がくぎ付けになった。
1月20日未明、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小型無人探査機「SLIM」が、日本初の月面着陸に成功した。場所は「神酒の海」付近。「降りたい場所に降りる」ピンポイント着陸の偉業を達成している。
午前7時1分36秒、満月が奥穂高岳山頂に接触。稜(りょう)線沿いに右へ移動し、3分9秒後に飛騨側へ隠れた。
(丸山祥司)