ヒョウタンランタン 松本の加藤さん初の作品展

ヒョウタンランタン作りを趣味とする加藤伸行さん(81、松本市波田)が、同市波田文化センターで初めての作品展を開いている。
加藤さんのランタンは実に個性的。落葉、障子紙、着色したアクリル板、テーブルクロスなど、さまざまな素材をはめ込んで作る。一般的な「穴を開けてカラフルなビーズを埋め込む」作り方から、さらに一歩踏み込んでいる。
自由な表現を支えるのは、持ち前の手先の器用さ、高校を卒業してから自動車整備士として培った技術、飽くなき好奇心。「いい柄や素材を見ると、使い方がぱっと頭に浮かぶから、終わりがない」と楽しそうに話す。
作品を知って施設などで活用してもらおうと、82歳を目前にして作品展を企画した。

自動車整備の仕事発想の原点に

銅板を自ら加工して作った型で梅や桜の花びらをくりぬいたり、拾ってきたイチョウの葉と同じ形にヒョウタンとアクリル板を切り抜いてはめ込んだり。加藤伸行さんの発想の原点は、長年従事してきた自動車整備の仕事から来たものが多く、それゆえ独創的だ。
自動車の整備・販売一筋。42歳で波田にカトウ自動車を創業した。ランタン作りは、仕事の一線から退いた75歳のある日、友人からヒョウタンを譲り受けたことがきっかけで始めた。「旅先で見たヒョウタンランタンを、ふと思い出してね。なぜか『作ってみたい』と思った。絵心などなかったんだけどね」
試しに一つ作って部屋に置いたところ、すっかり癒やされ、もう一つ制作。その後も次々とアイデアがわいてきて、気づいたらとりこに。今は自宅でヒョウタンを育てている。
これまでは作るだけで満足していたが、自宅に来る友人たちが作品を見て驚いたり喜んだりする姿を見るうちに、「施設などで活用してもらえるのでは」と考え、広く見てもらおうと作品展を開くことにした。
冬の趣味として年に4個ほど作っていたが、この年明けから一気に16個作り、6年間で作った全40点を、展示会場に並べる。
「人に喜んでもらうという、新たな楽しみが加わった。もっと作りたいね」。その声は、ランタンのようにキラキラと輝く。
波田文化センターでの展示は27日午前中まで。22、26日休館。施設に飾りたいなどの希望があれば、無償で貸し出す。問い合わせは妻の眞さんTEL080・1013・6425