平和考えるヒントに―絵本55冊紹介する本出版

松本大松商短大部の非常勤講師、中本晶子(あきこ)さん(69、松本市岡田下岡田)は、編著「平和の種が見つかる絵本55」を高文研(東京都)から出版した。平和への想像力を培うヒントになる絵本55冊を紹介している。
▽平和ってなんだろう▽戦争がもたらすもの▽人間の尊厳とは▽格差・差別に向き合う▽地球とともに生きる▽作家の思いーの全6章で構成。中信地方の有志が隔月発行するニュースレター「平和の種」に2007年から連載する「平和を描いた絵本から」から選び、加筆修正した。
中本さんは幼児の頃から絵本に親しみ、司書として地域の図書館や安曇野ちひろ美術館などに勤めた。「絵本の中には平和を考え、方向を示してくれる種が潜んでいる。構えずに手にとって楽しんで読んでほしい」
絵本は、武力による直接的な暴力だけでなく、貧困や差別といった「構造的暴力」もない状況を「積極的平和」と定義づけたノルウェー出身の社会学者ヨハン・ガルトゥング氏の平和概念に基づき、選んだ。「はなのすきなうし」「憲法くん」「みんなうんち」「からすたろう」「非武装地帯に春がくると」…。物語や作品の時代背景、作者の思いなどが詳細につづられている。
「戦争がもたらすもの」で取り上げた「絵で読む広島の原爆」(福音館書店)は、「ズッコケ三人組」シリーズの代表作がある故那須正幹(まさもと)さんの作。「那須さんは広島出身で3歳の時に被ばくした。子どもたちが分かりやすいようにと6年もかけて仕上げたのは、風化させてはならないテーマとしてこれからを生きる人たちに伝える使命を感じていたからに違いありません」と話した。
A5判、128ページ。1760円。