ドイツ人のキルマイアさん 藤原さんの家具工房で研修

日本の優れた技学んで

松本市寿小赤の「家具工房春夏秋冬」で1月から、ドイツ人のユリウス・キルマイアさん(25、朝日村古見)が家具作りを学んでいる。研修は半年の予定で、藤原哲二さん(75)の指導の下、貪欲に技術を吸収している。
キルマイアさんは大学で化学を専攻したが興味を持てず、悩んでいた。そんなとき父親(2018年逝去)から「好きな道に進みなさい」と言われ、ものづくりの道を模索。デザイン関係の学部に転部し卒業した。
その後ハンブルクで船大工を経験。そこで日本の手作り家具を知って感動し、目標が定まった。
東京電力福島第1原発事故を機にミュンヘンに移住した日本人建築士と知り合い、旧知の藤原さんを師匠にと紹介してもらった。EU(欧州連合)の奨学金も受けられることになり、昨年末来日。日本語はアニメや漫画などで覚えた。
藤原さんは、10代で松本民芸家具の職人に師事し、60代からは機械を使わず手で作る仕事にこだわる。その技術や重要性を次世代に伝えようと、オリジナル家具や生活道具を作るワークショップも開いている。
「家具作りはいい道具を作れるかどうかがすべて」と、キルマイアさんには、かんな作りやのこぎりの目立てなどから教えた。「大きなのこぎりで木を切り分ける重労働も、彼は喜々として取り組む」と藤原さん。
外国人はこれまでも受け入れたことがあり、「この世界は言葉が通じなくても大丈夫。日本の優れた技が次世代、世界に広がっていくことがとてもうれしい」。キルマイアさんは「修業期間は短いので集中して覚え、次のステップに進みたい」と、最初に作った三脚のいすを手に話した。