アフリカ布の魅力伝えたい 松本で初のポップアップショップ

アフリカ布を輸入販売 中川ももさん 松本市

「アフリカ布の魅力を日本で広げたい」。松本市岡田下岡田の中川ももさん(24)は、旅客機の客室乗務員になる夢がかなう寸前にアフリカ布と出合い、人生の目標を変えて「名古屋のアフリカ布ブランド“L”」を立ち上げた。出産を機に生活の拠点を出身地の松本に移動。夫がいる名古屋との二重生活だ。
コロナや出産があっても、持ち前の行動力で歩みを止めない。昨年、西アフリカ・ガーナに本社を置く「ウッディン」と正式に取引できるようになった。2月に布が届き、「今年が勝負」と名古屋や東京へ精力的に出かける。23、24日に松本で初めてポップアップショップ(短期の店)を開く。

SNSで見た布人生の目標変え

中川ももさんは客室乗務員になろうと、中学卒業後は石川県輪島市の日本航空高校石川、日本航空大学校と進んだ。卒業を控えた20歳の時、友人の交流サイト(SNS)でアフリカ布を見て「こんなにかわいい物があるんだ」と衝撃を受けた。「日本で広めたい!」と思い、「人生が180度変わった」と振り返る。
起業の勉強ができる就職先を探し、名古屋の飲食店に就職。店長としてさまざまなことを学び、人脈をつくった。
21歳だった2021年2月、コロナの影響で勤めていた店が閉じることに。「今が起業のタイミング」と背中を押してくれる人もいて、「名古屋のアフリカ布ブランド“L”」を立ち上げた。
小売りで買ったアフリカ布で小物などを作り、SNSで販売することから始めた。その中で伝統の柄と少し違い、品質の良いウッディンの布を知った。
「これを扱いたい」と、関係があると思われる20カ所以上にメッセージを送り、昨年夏にようやく1件の返信がきた。そこからは早かった。「誤解が生じてもいけない。一言も逃したくない」と同時通訳を頼み、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」で顔合わせ。現地でデザインして生産していること、新しい物を作り出しつつアフリカンファブリック(布)を守っていることなどを聞いた。

生産者の思いも自信持って説明

「どうしても扱いたい」。そんな中川さんの熱意が伝わり、ウッディン社と正式に取引できることになった。
本格的に取引するためクラウドファンディングで資金を集め、並行して仕入れる布選びを始めた。初めて取引した布が届いたのは今年2月。「自分で扱う布がどんな思いで、どんなふうに作られているか、自信を持って説明できるようになった」と中川さん。
アフリカの新しいファッションをつくるため、アフリカで作られるウッディンの布。地に白が使われるのも珍しく「日本で使っても違和感がないデザイン。日本の検査機関で品質も良いと認証された。自信を持ってお薦めできる」。
松本市で開くポップアップショップの会場は、中町・蔵シック館(中央2)に決まった。「アフリカ布に出合って人生が豊かになった。何があっても揺るがない物があることで、精神的にも安定して幸せを感じる」
コロナ禍や出産があり、自身がアフリカに行ったことはない。今年は、アフリカに行って現地でしか分からないことを感じたり、製造工程を見たりするのが目標だ。
問い合わせは「名古屋のアフリカ布ブランド“L”」のインスタグラムから。

【中町・蔵シック館ポップアップショップ】23、24日午前11時~午後4時。ウッディンの布を1ヤード(91.44センチ)から販売する。松本市を中心に活動するアフリカ音楽のパフォーマンス集団「松本サブニュマ」も参加する。