【中村小太郎・自然派生活】#2 「農地付き住宅」実現に希望の光

「自給自足」。何てすてきな言葉でしょう。生活するために必要なものは自分で作る─というようなライフスタイルでしょうか。白州(山梨県北杜市)に住む私の先輩は、このスタイルを確立した生活をしています。電気はソーラーパネル、移動手段もEV自動車です。水は湧き水。トイレはバイオトイレ。ガスに代わる燃料は庭木の剪定(せんてい)木という徹底ぶりです。憧れます。
ロシアでは、日本語で「農園付き別荘」と訳される「ダーチャ」という住宅が一般的だそうです。自分で食べる野菜を自分の農地で作ることができる生活が基本的人権になっている。素晴らしいし、うらやましい。ロシア書籍「アナスタシアロシアの響きわたる杉シリーズ」の一節に「そこに住む人にとって必要なものしか生えてこない」とあります。「自然派」ですね。
「農地付き住宅」。日本ではとても難易度が高いです。なぜならそこには農地法という法律があり、農地は農民にしか売ることができないのです。自給自足に憧れて移住したい人にとっては大きな壁です。なかなか難しい問題と思っていたら、あなた、身近なところに希望の光があるじゃないですか。
塩尻市の「しおじり街元気カンパニー」は、市から空き家バンクの運営を委託されている会社です。同社が扱った物件の中に「宅地を通らないと農地に行けない」物件がありました。藤森茂樹社長は思いました。「宅地だけを売ったら、農地は永遠に耕作放棄地になってしまう」と。
そこで農地の売買を可能にするため、熱意を持って管理する市農業委員会を説得しました。2年かかったそうです。その結果、国内でもほとんど例がない「農地付き宅地」=写真=の販売が実現しました。信州移住を考えている皆さん!これはお薦めです。藤森社長も市農業委員会も「goodjob」。このような取り組みが日本中に広がるといいですね!