処理下水汚泥 肥料登録申請へ―南安曇農業高の水田で栽培試験

安全性や利用価値確認

安曇野市で処理された下水汚泥について、県が2024年度のうちに農水省へ肥料登録を申請することになった。23年度に南安曇農業高校の水田で行った栽培試験で、汚泥の安全性や肥料成分が確かめられた。
県犀川安曇野流域下水道事務所と南農高は4年前から協働し、下水処理場「アクアピア安曇野」(豊科田沢)の汚泥が肥料で使えるかどうかを調べてきた。23年度は初めて水田にまいて稲を育てる検証をした。
25日に両者による報告会が開かれ、同事務所から稲の生育に問題がなかったことが説明された。汚泥がまかれた土壌の成分分析では、窒素やリン酸が多く含まれていた一方、カドミウムなどの重金属は土壌汚染対策法などの基準値を下回ったという。
稲の出来については汚泥をまいた区画、化成肥料の区画、無肥料の区画で比べたところ、汚泥区の収量が最も多かったという。専門機関が分析した食味値も遜色がなかった。栽培を担当した南農高生物工学科の生徒は「汚泥は肥料として利用価値は十分あると考えられる」と報告した。
実際に利用が広がるかは、生産者や消費者の「汚泥」に対する抵抗感をなくせるかが鍵になる。同校の今溝秀雄教諭は「登録されて『肥料』として知られれば流れは変わってくる」と話す。
同事務所は、今後も栽培実験を続けて土壌に重金属の蓄積がないかを検証しながら、早期の肥料登録を目指す。