【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#71 お米がおいしくなる山の雪

「上雪(かみゆき)」。この2月、見る見る積もる雪を見ていたら、地元の方が教えてくれました。北信地方に大雪が降るのは当たり前ですが、中信や南信での大雪を指すようです。「上」なのは京都に近いからという説があります(諸説あるようです)。その日の天気予報でも、気象予報士が「南岸低気圧通過の影響で中南信に上雪をもたらしました」と言っていました。
湿った重い雪が夜中降ると、次の朝が大変です。地区で除雪機を持っている人が雪かきをしてくださいますが、そこまでの道は人力です。翌日以降も寒い日が続く予報ですと、根雪になった時のことも考えながら雪かきしないといけません。それができるようになったのも、移住して5年以上たったからでしょうね。いつもは使わない部分の筋肉痛に襲われます。
でもですね、つらいとか嫌だとか言っている割には、心のどこかで喜んでもいます。わが家の田んぼは、田川から水を引いています。その上流は高ボッチ高原の塩尻峠です。その方向を思わず見上げます。猛威を振るっている松枯れは、ここには及んでいません。元気な森林は、雪解け水をゆっくり送り出してくれます。樹木が日光をさえぎるので、雪解けがゆっくり進みます。また、森林が育てたふかふかの土に雪解け水が染み込んでミネラルたっぷりの地下水となり、川へと流れ、田んぼのお米をおいしくしてくれます。
目覚めたら雪の朝。さて、雪かきしますか!