【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#29 苗8割

苗8割。先輩農家たちからの教えです。育苗が大事、育苗さえ上手にできれば、勝手に育ってくれるというような意味でしょうか。
自然農法は自家採種が大前提です。自分で育てた作物から次の作付けの種を取っておきます。私の小太郎米も代々、同じ水田で育った種もみをつないでいます。私は、最も条件の厳しい場所で実らせた種もみを選んでいます。例年、取水口の近くで冷たい水にさらされて育ったお米の収穫袋に「来年用」のタグを付けて保管します。
種もみは、一見すると違いが分かりません。私が自家採種にこだわる理由は、親株が「タネを継ぐ」際にはDNAにほ場の環境情報を伝えていると思うからです。日照や風向き、水路から取り入れる水の情報。ほかにも「この田んぼの持ち主はサボり屋だから、気を付けろ」なんていう情報も書き込んであるかもしれませんね(これ大事な情報ですね)。
その大事な育苗に不可欠な作業が、土作りです。育苗マットに使う土を培土といいますが、前年の9月には一度発酵させて保管するようにしています。気温が高いうちにしなければならないので、稲刈りより前に翌年の準備が始まっているのです。
そうして育てた種もみから、今年も丈夫そうなイネの苗が育苗ハウスで田植えを持っています。みんなで力を合わせて行う定植の儀式。今年は28日を予定しています。毎年緊張します。今年もうまくいくかな。