【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#74 価値ある「朝どれ野菜」

春の楽しみといえば、山菜や野菜の天ぷらでしょうか。
タラの芽、フキノトウ、コゴミ、ハクサイの菜花、野沢菜の菜花…。数え出したらきりがありません。
若い頃は、定食屋さんで「野菜天ぷら定食」を選んだことはありませんでした。エビやアナゴが欲しかったのでしょう。野菜天ぷらなら、きっと少し廉価で、栄養たっぷりの旬のものが食べられたのに。後悔。
今の私なら、迷わず野菜天ぷらです。少し大人になったかしら。
信州に移住してきて驚いたのが野菜のおいしさです。今は自然農法の自給自足生活ですが、移住最初の1年は農産物直売所やスーパーで買っていました。おいしいのは、水が良い、土が良い、そのような風土のせいだとなんとなく思っていたのです。
もちろんそれもあります。その上に流通も影響すると考えるようになりました。東京にいたら、例えば、農家からJAさんの倉庫で1泊、市場の大卸問屋さんで1泊、仲卸問屋さんで1泊、スーパーの倉庫で1泊、そして店頭でしょうか。長旅です。
信州で生まれ、信州で育った方は、朝どれ野菜がどれだけ価値があることか誇って良しです。私自身も移住して金メダルですね。
今回で「自然農奮闘記」はお開きとなります。ご愛読ありがとうございました。この4月からは装いも新たに月に1回の連載が始まります。新しい小太郎ワールドにご期待ください。
〈おわり〉