「ちいさなせかいのマーケット」ドールを楽しむ大人女子の趣味

「ドル活」って何?人形の衣装や家を作ったり、着せ替えして写真を撮ってSNS(交流サイト)にアップしたりする、人形(ドール)に関わる活動のことだ。着せ替え人形といえば、子どもの遊びというイメージが強いが、「ドル活」は大人女子の趣味として広がっているという。
5月、松本市で開かれた「ちいさなせかいのマーケット」を訪問すると、刺しゅうで彩られた服、革の靴やバッグ、木製の棚や椅子、小さな縫いぐるみなどがずらりと並ぶ。手間暇かかった物ばかりだ。とてもきれいで、とてもおしゃれ。いずれも作家の一点物という。
ドール服の制作販売を手がけ、同マーケットを主催する遠藤美佳さん(47、松本市寿)に話を聞くと―。

「ドル活」で人と人が出会う

5月24日、Storyhouse CAFE&Bar(ストーリーハウスカフェアンドバー)(松本市大手4)のドアを開けると、店の一角で「ちいさなせかいのマーケット」が開かれていた。ドル活にぴったりのミニチュアを集めた販売会だ。
とうで作った籠バッグ、刺しゅう入りのドレス、革靴、熊のアイマスク、ピアスなど、約200点。ほとんどが一点物といい、いずれも高級感があり、おしゃれでかわいい。開店前から待っていた人には、整理券が配られた。主催するのは遠藤美佳さん。自身もドル活をする一人だ。
遠藤さんが人形の服を作り始めたのは6年前。もともと自分の子どもの服を作っていたが、男の子なのでかわいい服を作る機会がなく、成長するにつれ服も大きくなった。「女の子の小さくてかわいい服が作りたい」。ドル活の第一歩だった。
「子ども向けの着せ替え人形の衣装と違って、リアルを追求し、デザインや素材にこだわっている。クオリティーが高く、大人が楽しめる」と遠藤さん。「自分が作った服を着せて、インスタグラムにアップする。『いいね』と言われるのがうれしい」とも。コロナ禍でさらにドル活が進んだのではと推測、「人となかなか会うことができなかった。SNSで人とつながっている感覚があり、どっぷりハマった」。
遠藤さんは「hana cafe doll」という屋号で22センチサイズのドール服を作り、オンラインショップで販売している。最近は刺しゅうが入った服をメインに制作。型紙は自分で起こし、縫い代は服のラインに響かないよう5ミリぎりぎりと、小さいからこその苦労もある。
今回のマーケットには、北海道から九州までの人気作家20人の作品が並んだ。木工作家の常見久美子さん(46、松本市旭)は、棚や本棚、ドアなどを木で作る。友人の遠藤さんから依頼を受けミニチュアを作るようになった。本職だけに、出来上がりはとても精巧だ。「私が欲しいと思う作家に頼んで、商品を並べています」と遠藤さん。
中信地区だけでなく、長野市などから訪れたり、5万~6万円分も買ったりする、熱心な人がいるという。堀内ゆかりさん(51、安曇野市堀金三田)は「ドル活は20代から楽しんでいる。自分の大好きなブライス(人形の名前)にすることができる。マーケットは毎回楽しみ。ドル活仲間もでき、県外の人にも交流がひろがった」とその魅力を話す。
同じ趣味を持ち、その話題で盛り上がる。推し活の醍醐味(だいごみ)だ。遠藤さんは「人と人とが出会う場になればいい」と期待する。次回のマーケットは11月を予定している。

ちいさなせかいのマーケット インスタグラム