
山田浩希さん(27)は、創業半世紀になる松本市南原1の中国料理店「九龍」の3代目。料理長として自身が商品化した「冷凍白担々麺」が、国際品評機関「モンドセレクション」の金賞を受賞した。白担々麺は現在、病で調理場を離れている父で2代目の浩史さん(51)が考案した店の看板メニュー。「父ちゃんの味が認められたのがうれしい」と喜ぶ。
モンドセレクションは、ベルギーの同名の企業が食品、飲料など幅広い商品の技術的水準を審査。金賞は最高金賞に次ぐ。九龍の冷凍白担々麺は「ショウガとゴマが香り、ニンニクの深いこくが際立つ」と味わいが好評だったほか、パッケージの良さや作りやすさなども高評価を得た。
同店の80種類以上あるメニューのほぼ全てを考案した浩史さんが、唯一レシピ化したのが白担々麺で、思い入れの強さが表れた一品という。浩希さんは「この味を多くの人に知ってもらうのと同時に、公に評価してもらいたかった」と、昨年6月から店に隣接する工場で冷凍品の試作を開始。「冷凍で店と同じ味にするのに苦労した」と言う。
店は1974年、中華の料理人だった祖父の健一さん(故人)が同市渚で創業し、2000年に現在地に移転。浩希さんは松本第一高校の食物科を卒業後、「アルバイト感覚」で働き始めた。料理人以外にやりたいことがあり、店を継ぐつもりはなかったが、7年ほど前に浩史さんが病に倒れた。
「自分がやるしかなかった」と弱冠20歳で料理長に。それまでは父が調理する姿を見ていただけで、加えて父は感覚で料理を作る“天才肌”。白担々麺以外のレシピはなかった。
母の恵子さん(50)の協力を得て「父ちゃんの味を再現するのに必死で取り組んだ」。しかし、常連客らから「味が違う」と何度も言われた。「自分は何を言われてもいいが、祖父と父が築いてきた店の評価が下がるのが耐えられなかった」と、当時の苦しい胸中を明かす。
それからおよそ7年。努力の成果は「ほぼ全メニューのレシピ化」という形で表れた。「改めてこれだけのメニューを考えた父ちゃんのすごさを感じる。従業員を引きつける力など人間的な魅力も感じる」と浩希さん。「父ちゃんに追い付いたとは思わないし、追い付いたと思ったらそこでおしまい。この味をもっと多くの人に知ってもらうのが自分の役目」と気を引き締める。
冷凍白担々麺は2食入り1800円。同店のほか山形村のアイシティ21などで販売している。同店TEL0263・28・5770