
経験の有無や巧拙にこだわらず、各自が楽器や歌声を持ち寄り一緒に演奏をする楽しさを味わう集いが、今春から小谷村で開かれている。その名も「みんなでMUSIC!」。米スター歌手らによるチャリティー曲として知られる「ウィー・アー・ザ・ワールド」を演奏しようと、村集落支援係が企画。多彩な地域住民が参加し、名曲の演奏を通じて交流も深めている。
音や声 合わせる楽しさ共有
11月11日の午後6時すぎ、同村複合拠点施設おたりつぐらに8人の村民が集まった。ギターやベース、バイオリンを携えた人に、マイクの前に立つ人。それぞれに音を出し、しばしの個別練習の後に皆で合奏した。
各自が力強く歌い、思いを込めた音色を響かせる。演奏を終えると、充実感に満ちた様子ながらも、反省点を振り返る。ボーカル担当の女性たちは、リズムや音程が取りにくい箇所を繰り返し練習し、教え合った。当初は本家の英語の歌詞で歌ったが、聞く人に曲の持つ意味を伝え広めたいとの願いから、現在は日本語訳で歌唱している。
村出身で、4年前にUターンした編曲家の宮澤謙さん(72、千国乙)は「(長年離れていた)小谷村の人と演奏するいい機会」と参加。電子ピアノなどの機材を持ち込み、自身でアレンジした音源で演奏に厚みを持たせている。
集いを主で企画し、歌でも参加する村集落支援員の中川園子さん(51)は、「手元に楽器があっても一人では演奏しないが、集まる場があれば楽しめる。楽器を問わず、みんなで気軽に音楽に親しむ時間を設けたい」。多くの人が知っていてメッセージ性も持ち合わせる同曲を奏でる集いを発案。5月から毎月第2火曜の夜に同施設で開いている。
「この曲が好きで、大勢で声を合わせて歌うのがいい」と話すのは、ボーカルの辻千明さん(65、千国乙)。同じくボーカルで参加する鷲澤智子さん(62、北小谷)は「集まって演奏することに興味を持った。他の集落の人と交流できるのも楽しく、和気あいあいの雰囲気で、2カ月さぼったが足は遠のかない」と笑顔だ。
自前のギターで参加する植村裕さん(70、千国乙)は学生時代に弾いていたが、長年演奏していなかった。「一人で弾いてもつまらない。一緒に音を出し、リズムや音がちょっとずれたりするのが面白い」と、対面での血の通った演奏の醍醐(だいご)味(み)を語る。運営を担い、ベースの演奏と歌を楽しむ集落支援員の細野希美さん(41)は「楽器ケースを開けるのは高校生以来。うまくなくても、みんなで音を鳴らして楽しむと気持ちがいい」とうれしそうだ。
初対面同士も和気あいあい
参加メンバーの多くは深い接点がなかったり初対面同士だったりするが、一つの曲の演奏に気持ちを集め、回を重ねて心の距離も縮めている。今年の集いは12月まででひと区切り。参加者からは「今度、バンド組みたいね」などの会話も聞こえている。
集いの参加者は12月13日に同施設で開く「しらゆきコンサート」に出演し、同曲を含む全3曲を披露。聴衆も声を合わせ、みんなで奏でる楽しさを共有してくれることを願っている。
【しらゆきコンサート】
12月13日午前10時~午後2時、小谷村複合拠点施設おたりつぐら。村内の吹奏楽やケルト音楽、ベリーダンスの個人やグループ、バンドが出演。木工のワークショップ、読み聞かせ、飲食物販売なども。「みんなでMUSIC!」参加者の演奏は午前11時半すぎの予定。村集落支援係TEL0261・82・2589