甘酒を専門販売「アマザケキオスク」始業 松本の長田さん夫妻

甘酒を毎日の新しい選択肢に

栄養満点で「飲む点滴」ともいわれる甘酒。松本市の長田夏奈さん(33)、歩さん(32)夫妻は、甘酒を専門に扱う「アマザケキオスク」を始めた。自分たちで「おいしい」と選んだ甘酒を、店舗は構えず、イベントにブースを出したり、市内の店に預けたりして販売している。
市内に飲食店やカフェなどの仲の良い店主が多いという長田さん夫妻。多くは仕事熱心で、体のことは後回しにしがちな人もいる。「大好きな人たちを応援したい」。そこで、二人が数年前から関わってきた甘酒を、健康の維持に役立ててもらおうと考えたのが、起業のきっかけという。
「健康や美容に興味がある人以外にも、甘酒の魅力を知ってほしい」と二人。「選択肢に甘酒を」がコンセプトだ。

個性的で面白い 多様な味に驚き

白くてとろっとして、優しい甘さ。正月に神社などで振る舞われると、心まで温まる―。多くの人は、甘酒にこんなイメージを抱くのでは。長田夏奈さん、歩さんが営むアマザケキオスクでは、固定観念を打ち破る個性豊かな甘酒を全国各地から選び、案内してくれる。
現在取り扱いがあるのは、石川県産の4種類。金沢ヤマト醤油味噌(しょうゆみそ)の玄米甘酒「一日一糀(こうじ)」(310円)は、濃厚な甘酸っぱさが特徴で、くせになる味だ。酒蔵の福光屋の「VATEN」(410円)は甘酒なのに透明で、驚く人も多い。

二人が甘酒の魅力に引き込まれたのは2020年。共に東京都内の発酵食品を取り扱う専門店の立ち上げメンバーだった。発酵食品に関する知識はほとんどなかったが、販売担当として実際に飲んだり食べたり、製造者に話を聞いたりと勉強を重ねた。専門店なので、取り扱う商品ができるまでの過程や、作り手の思いなどの背景を大切にしていた。
発酵食品の一つとして出合った甘酒は、抱いていたイメージとは異なる「個性的で面白い飲み物」だった。トロピカルな甘酸っぱさを感じるもの。甘さ控えめですっきりした飲み心地のもの。野菜などとミックスされスムージー感覚で飲めるもの…。「これって本当に甘酒?」。夏奈さん、歩さんは驚いた。
蔵ごとに違う技術や微生物が織りなす発酵の力によって、多種多様な味わいがある。知識があまりなかったからこそ「おいしい!」「面白い!」と素直に感じることができた。

地域の忙しい人 発酵食品で応援

歩さんは飯田市、夏奈さんは下諏訪町出身。いずれ信州に戻りたいとの思いが一致し、2023年12月に松本市に移住、後に結婚した。
外出するたびに地域にお気に入りの店ができ、仲の良い店主も増えた。日々忙しく働く店主らに「健康で、元気でいてほしい」と、応援する気持ちが強まった。自分たちにできることを考え行き着いたのが、二人の出会いのきっかけでもある発酵食品、甘酒だった。
腹持ちがよく、体の糧になる栄養素がたっぷり詰まった甘酒。毎日を忙しく過ごす働く世代に、その力を知ってほしい。朝はコーヒーだけ、小腹がすいたらコンビニでパンやカップ麺、疲れたらエナジードリンク…という人も多いはず。そこに新しい選択肢を提示したかった。
「体に良いから飲んでほしい」だけではなく、「いろいろな種類の甘酒の存在、面白さやおいしさを知ってほしい」と夏奈さん。そのまま飲んでも、牛乳や炭酸で割ってもいい。時間がない人もさっと飲める甘酒を、暮らしの選択肢の一つに加えて―と提案する。

今後は企業や事業主への宅配サービス、みそやしょうゆなど他の発酵食品にまで、扱う商品の幅を広げることを視野に入れる。
販売場所は松本市の情報通信技術(ICT)拠点施設「サザンガク」(大手3)、パン店「角松屋」(大手4)。毎月第3月曜日にアトリエC(中央4)で開く「サンライズストリートマーケット」にも出店する。イベント時の出張販売も可能。問い合わせはインスタグラムから。