子どもたちだけで架空の街つくる年に一度の「こどもしおじり」

子どもたちの元気な声が、塩尻市市民交流センター「えんぱーく」に響いた。年に一度、子どもたちだけで架空の街をつくる催し「こどもしおじり」が、昨年12月13、14日の2日間限定で出現。10回目を迎え、近隣から集まった小学3年から中学3年までの児童生徒157人が〝市民〟になった。
子どもたちは「市民証」を首にかけ、市民として仕事に就き、独自の通貨「じりぃ」を稼いで買い物や学びに挑戦。両日とも会場は終日、活気が満ちあふれた。
「写真スタジオじりぃ」として5人の求人を出した写真スタジオ「スタジオヴィーヴォ」(松本市小屋北1)のブースでは、子どもたちがカメラマンやモデル、アシスタントとして仕事を体験。撮影をする側、される側双方の立場で、現場の緊張感を味わっていた。

働く喜び・お金の流れを学ぶ

1979年にドイツ・ミュンヘンで始まった「こどものまち」は、現在、世界各地で開催され、日本でも約200カ所で開かれている。「こどもしおじり」を企画・運営する塩尻市のNPO法人わおん(事務局・広丘郷原)は、視察した高知県の「とさっ子タウン」を参考に、2016年から事業を開始。塩尻の地域性を取り入れながら、こども市長やこども議員たちが1年を通して築き上げてきた街として、毎年進化を続けている。
街の行政や商業など、通貨「じりぃ」を用いたお金の流れを生み出すのは子どもたち。運営スタッフなどとして参加する大人は、あくまで子どもの主体性を支える役に徹する。

働いて給料を得て納税・起業まで

働きたい子どもは、まずハローワークへ向かい、希望する職業の求人票を手にする。指定された労働時間(30分または60分)を働き終えると職場担当者から押印を受け、銀行で通貨「じりぃ」を受け取る。次に向かうのは税務署。給料に応じた納税手続きを済ませ、手元に残った通貨は、コンビニでの買い物や市への寄付、銀行への預金などに使える。通帳番号は市民証と連動しており、紛失時の再発行が可能なほか、利子も付く仕組みだ。
稼いだ通貨で参加できるのが「アカデミー」。今年は、大人の専門講師による「マナー&コミュニケーション教室」や、実際の銀行員が教える「おこづかい帳」の書き方講座などを開設した。
検定試験に合格すると給料が最大50%アップするシステム。継続的に参加している子どもの中には、まず学びに投資し、高収入を狙う〝戦略派〟の姿も。時間の許す限り仕事を続ける子どももおり、働く喜びを味わいながら税やお金の流れを体験的に学んでいた。
仕事とアカデミーを合わせた44ブースの中には、実社会で働く専門家が担当するブースもあり、現実の仕組みを伝えている。起業を目指す子どもには、塩尻商工会議所の職員が起業届の提出方法や、売れるための経営の工夫を助言した。法務局などで起業手続きを済ませ、翌日に出店した古田渉留さん(丘中1年)は2種類の商品を販売し、商品説明にも工夫を重ねた。後半には値下げにも踏み切り、完売すると満足そうな笑顔を見せた。
昨年の市長選で初の女性市長となった仁科文香さん(諏訪清陵中2年)は、「私たちが考えてきた企画を、みんなに楽しんでもらえた達成感がある。それぞれの楽しみ方が広がっていると思う」と目を輝かせていた。
今後の情報は、ブログで発信する。