
放課後、友達の自宅に集まる子どもたち。持ち寄った紙袋やバッグの中には個性あふれる「シール帳」がパンパンに入っている。そして「かわいい! これちょうだい!」「レートが合わないから無理だよ」などのやりとりが始まる。ここ最近、小学生を中心とした子どもたちの間でシールを集めたり交換したりする「シル活(シール活動)」が大ブームという。子どもたちの週1回のお楽しみ「シール交換」の集まりに、30代の記者も参加させてもらった。
この日は、きょうだいで集めているという松本市の小学3年生、犬飼優里さん(9)と同2年生の弟、謙伸さん(7)、謙伸さんの友人、松澤翼さん(8)と城倉美桜さん(4)が集まった。
「シール交換を始めます。お願いします」という礼儀正しいあいさつから始まった。まずは自慢のシール帳をみんなで見せ合う。「わーかわいい!」「これレアだよ! すごい」の声が出るなど、それぞれのシール帳をじっくりと見ながら、あっという間に大盛り上がりだ。
他人のシールを勝手に剥がすのは厳禁。交換するには、必ず相手の承認を得る─がルール。そこで大事になってくるのがシールの価値にあたる「レート」。一般的に人気キャラクターや透明感と立体感が特徴の「ボンボンドロップシール」などはレートが高いと教えてくれた。
レートが高いもの同士、レートが高いシール1枚と低いシール2枚の交換など、自分のお気に入りを手に入れるには交渉術も必要だ。
また、個人の好みや思い入れなどでレートの基準は変わり、翼さんは「(プニプニとした手触りの)おなかシールやおしりシール」、美桜さんは「キラキラしていて、かわいいシール」のレートが高いという。
「これは自分のお気に入りだから絶対に駄目」「これは2個しかないから」と、自分のシールの価値をプレゼンし、「これくれるなら、これをあげてもいいよ」。交渉を成立させるのは、そう簡単なことではない。
シールには、水やラメの入った「うるちゅるポップシール」。マシュマロのように柔らかい「コットンパフィーシール」などがあり、人気のシールは、購入制限が設けられたり、店が開く前から行列ができたりするほどで、欲しいシールがなかなか手に入らないこともあるという。
優里さんと謙伸さんは、昨年秋にシール帳を買ってもらったのをきっかけに、のめり込み、きょうだい間でも交換を楽しんでいる。シール帳を大小合わせて11冊まで増やした優里さんは、クリスマスや誕生日に欲しいシールをおねだりして増やすほか、テストで100点を取ったら買ってもらえる約束もある。
母親の華奈さん(29)も小学生の頃、同じようにシールを集めていたといい「昔はやったタイルシールやおはじきシールが今でも人気があり、懐かしい気持ちになる。私もシール集めが再燃した」。子どもにつられて大人も楽しんでいる。
そういう記者もその一人。シール交換の場の子どもたちの熱気に圧倒され、気付けば「ファン目線」でシールを凝視。デジタルの世界では味わえないこのときめき。記者もシール帳を1冊購入して、正式にこの輪に加わりたくなった。