【中村小太郎・自然派生活】#24 水不足を予測し節水型の稲作へ

雪形。これは春の訪れとともに、里が新緑を迎え、山が雪解けを始めた時季に、山肌に残った雪と岩肌が織りなす模様を人物、動物、文字などに見立てたものです。昔の農民たちはこの模様を農作業の開始時期や豊凶を占う目安として利用してきたといわれています。
私たちに身近な雪形として3月下旬から5月下旬、北アルプス・常念岳に現れる「常念坊(じょうねんぼう)」や「万能鍬(くわ)」があります。安曇野の農家が種まきや田植えを始める時期の春の風物詩です。
僧侶がけさを着て徳利(とくり)を提げているように見える常念坊は、塩尻市広丘吉田の「小太郎米」を栽培している田んぼからも見えます。「常念坊が登り始めたぞ、田んぼに水くれろ!」など、昔の農民はこう言っていたであろうと、思いを巡らすのも楽しいです。
現実に戻り、改めて山々を見ると、例年より山肌が多く見えるように感じられます。そう、積雪が少ないのです。これはすなわち、水稲栽培の水不足も意味しています。
節水型乾田直播(かんでんちょくはん)。ハウスなどで育苗をせず、乾いた田んぼに直接種をまく稲作の栽培方法です。何と、中部電力(名古屋市)がこの方法で農業分野に進出していると報道されました。時宜(じぎ)を得た取り組みに驚きました。
さらにびっくりしたのが、私たちがよく買い物で利用する綿半グループ(飯田市)が、筑北村の農産物生産を手がける「ちくほく農場」を買収したという記事です。
また、和洋菓子大手のシャトレーゼホールディングス(山梨県)が、「白馬錦」の蔵元、大町市の薄井商店を買収しました。異業種の企業が農業関連分野に参入しています。
1993年のインターネットの商用利用解禁直後の「ITバブル」に似ています。
私たち小太郎米の生産者グループも、林業・運送業の早川実業(諏訪市)の協力を得て、中部電力のやり方を学びながら節水型の稲作に挑戦予定です。
バブルが崩壊しないように、まわしを締め直します。
(農業、塩尻市在住)