まるで〝娯楽の場〟 変わるデイサービス―安曇野の2施設に見る

パチンコ、カラオケ、ゴルフ、屋内トラック、リハビリマシン―。まるで複合アミューズメント施設のようだが、実は全て、高齢者を対象にしたデイサービスにある設備だ。施設内で共通通貨を導入し、運動などを頑張ると一定額がもらえ、それをやりたいことに使うといった、モチベーションを高める工夫もある。
みんなで歌う、工作をするなど、施設が決めた時間を過ごすのではない。自分のやりたいことができ、特技を生かせる自己選択型、自己決定型を掲げる。
「身体機能を上げられる」「若い頃好きだったことに打ち込める」と話す利用者も。多様化する姿を、安曇野市の「デイサービス安曇野 サファイアテラス」(三郷明盛)、「デイサービス オリオリゾート安曇野」(豊科)で見た。

学び遊べる場が健康の支えに

デイサービス 安曇野サファイアテラス。「その人らしく笑顔で過ごせる自己選択型デイサービス」をコンセプトに2024年2月、オープンした。施設内には個別の浴槽だけでなく、景色が楽しめるよう窓を大きく取った大浴場、ゴルフシミュレーター、カラオケシアター、麻雀ルーム、1周60㍍の屋内トラック、図書室などがある。
リハビリマシンは8種11台あり、理学療法士が一人一人に合った最適なプログラムを作ってくれる。利用者の「書道を習いたい」といった声を生かした教室で筆を握る、スタッフ相手に卓球をする、カラオケで声を出す―など、施設内での過ごし方もさまざまだ。
楽しみがあると来やすくなる。来れば自然に運動ができる。また来ようという気持ちになる―と、運動を習慣化できる連鎖が生まれるという。また、1人暮らしや高齢夫婦だけの生活だと、話をする機会が限られるが、施設に来れば職員や利用者とおしゃべりできるため、「社会参加もセットになっている」と、中島淳施設長(56)は説明する。
週1回利用する小穴衛さん(80、豊科)は「運動し、歩行器を使わず歩けるようになった。ここに来るとたくさんの人と話ができる」と笑顔だ。

デイサービス オリオリゾート安曇野のコンセプトは「生涯楽しめる、エンターテインメント追求型」。職員はアロハシャツを着用、室内はハワイをイメージして飾り付けられている。
利用者は、1日のプログラムを自分で決める。ランチも、メインの料理を肉か魚か自分で選ぶ。風呂、歩行訓練、TRX(つり下げた器具を使うトレーニング法)、カラオケ、モルックなどやりたいこととやる時間を決め、スケジュールをホワイトボードにマグネットで張り付ける。パチンコ(景品交換はない)だけは、希望者が多いため抽選という。
ここで必要になるのが施設内共通通貨の「マナ」だ。来所で500、約60㍍のアロハロードを1周歩くと100、パチンコで大当たりが出ると100、洗濯物を畳むと100もらえる。逆に水圧マッサージには500、パチンコは500か800、カラオケ1曲100、入浴剤に300を使う、というシステムだ。
男子会や女子会、プライベートツアーといった外出する機会も提供。ここでもマナが使える。
1フロア約167平方㍍に全ての設備が入っているため、移動しやすいのも特長だ。スタッフで看護師の中嶋清隆さん(62)は「高齢になるとやれることが少なくなるが、ここで体を動かすと家でもアクティブになる」。利用者の丸山しげこさん(88、豊科高家)は「いろいろな人と顔見知りになり、話ができ楽しい。カラオケは来るたびにやっている」、鈴木幹夫さん(72、三郷明盛)は「歩行練習やTRXなどに挑戦している。自分の努力次第で健康が維持できる」と話す。
健康で、自分のことは自分でできる。それが一番の財産かもしれない。