心の友と新たな旅路へ 相棒はハーレーダビッドソン 松本離れる赤沼智歌さん

人間関係の悩みから解放

「このバイクが自分を知らない場所に連れて行ってくれ、いろんな世界があることを教えてくれた」。今月、都内にある自動車整備の専門学校に進む松本市井川城の赤沼智歌さん(19)の宝物は、米国製の大型バイク「ハーレーダビッドソン」。人間関係に疲れ、心が折れそうになっていた自分を救ってくれた〝相棒〟という。

誰かを支える作り手夢見て

市内の中学を卒業して松本工業高校に進学した赤沼さんだが、同校は女子生徒が少ないことなどから友人との付き合い方に悩み、わずか3カ月ほどで休学。引きこもりになった。
2年生になる年に松本筑摩高校の通信制に転校。週数回の通学の「足」として、アメリカンタイプの原付バイクを購入したのが、オートバイとの出合いだった。
アメリカンタイプの格好良さと、自由にどこへでも行ける楽しさにはまり、「もっと遠出がしたい」と中型二輪免許を取得。排気量250㏄のバイクに乗り換えた。
さらに欲が出て、18歳になってすぐの2024年11月に大型免許を取得。「どうせなら世界最高峰(の大型バイク)とされるハーレーに乗りたい」と、10年式の「FXSTCソフテイルカスタム」というモデルの中古車をローンで購入した。
翌年1月、ハーレーにまたがり九州方面へ一人旅に出た。当時学校は順調だったが、アルバイト先の人間関係で悩み、旅の目的は「一人になりたい」。しかし、訪れた場所で最も心に残ったのは、人の笑顔と優しさだった。「人と向き合う勇気をもらった」と赤沼さん。
3月2日の高校の卒業式。赤沼さんは通信制47人の卒業生を代表して答辞を述べた。「バイクや車は私にとって、単なる移動手段ではない。自分の力でどこにでも行ける自由を教えてくれた相棒。今度は私がその作り手となり、誰かの生活を支え、前向きになれるようにするのが夢」と。