2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

[創商見聞] No.8 自慢の逸品発掘・売込逆商談会

販路拡大 きっかけの場に

松本商工会議所(松本市中央1)など、中南信エリアの17商工団体は3日、エリア内の食品製造業者の販路拡大の支援を目的に、「自慢の逸品発掘・売込逆商談会」を同市の県松本合同庁舎で開いた。
県内の商工会議所を5地域に分け、多様化する中小企業、小規模事業所の経営を支援する「広域連携支援事業」の一環として年1回開き4回目。新商品を発掘したい買い手企業がブースを設け、売り手側の食品製造業者が、自慢の商品を売り込む提案型で、通常とは逆のユニークな形だ。売り手75社、買い手30社が参加した。
売り手は、石井味噌(松本市)の「松本一本ねぎのねぎ味噌(みそ)」、農事組合法人ナガノパープル堅石(塩尻市)の「ナガノパープル皮ごとジャム」など、地元産農産物を使って開発した信州ならではの商品ばかり。栽培から手掛けている企業もあり、作り手や開発者の熱い思いやアイデアなどが詰まった商品がそろう。
買い手は、井上(松本市)、東急ハンズ(東京都)といった県内外の百貨店やスーパー、卸売、飲食、ホテル、旅館などが参加。売り手側は商品を持って買い手ブースを回ってアピールした。
また商品の展示コーナー(出展59社)もあり、興味がある商品を手に取り、積極的に質問などをする買い手の姿もあった。
県内の特産品を生かした食材を求める買い手が多く、中には一緒に開発をしたいといった声も出るなど、「信州ブランド」の注目度、人気の高さを再確認する商談会だった。

FCPシートで競争力アップを支援

多くの企業でにぎわう中、売り手と買い手をつなぐのが、FCP(フード・コミュニケーション・プロジェクト)商談会・展示会シートだ。
 商品や企業紹介、ターゲット、品質管理情報など、売り手の情報を盛り込み、どんな商品をどのように製造しているのか、どういうマーケットを狙い、どのようにアピールしたいのか―などが一目で分かるよう工夫されている。自社の強みを効果的に、効率よくアピールできるよう、広域専門支援センターの広域専門指導員が作成支援をしている。

売り手(サプライヤー)の声

県外バイヤーとの出会いに

信栄食品(松本市並柳4)営業企画チーム海外担当

神倉まり奈さん(24)

餃子(ぎょーざ)の専門メーカーで、前回も参加しました。今回は、わさびのマルイ(安曇野市豊科)とコラボした「わさび餃子」を提案。熱を加えても香りが揮発しない特許技術を使っています。
逆商談会のいい点は、売り込みたい先に、ダイレクトに入れること。昨年は2社に売り込み、1社と契約できました。
事前に、バイヤーの資料をもらえるので、あちこちへ営業に出掛ける手間が省けます。新規の県外のバイヤーともつながることができるので、大きな成果が上がっています。とてもいい取り組みだと思います。

バイヤー待つより効率的

農事組合法人アースかいだ
(木曽町開田高原)理事、事務局長

中村健さん(58)

今回はえごまオイル、すんき、無添加のコーンスープなどを提案しました。
バイヤーの資料を前もってもらっているので、どんなものを希望しているのかが分かり、ストレートに売り込みができる。ブースを構えて、バイヤーを待つより効率的。
昨年は、1社と4商品の契約をすることができました。高速道路のサービスエリアの事業所なので、市場は大きいです。今回も、手応えを感じています。
もう少し欲を言えば、展示スペースをもっと広く取れるとありがたいです。

買い手ブースに出向ける

酒造会社・薄井商店(大町市大町)
広域営業

薄井真弓さん(40)

粕(かす)汁をPRしました。「野沢菜」「野沢菜と信州サーモン」「四種のきのこ」の3種。酒粕の需要が減る中、栄養価が高く、おいしい粕を、手軽に召し上がってほしいと開発しました。
逆商談会は、わが社の商品を、ぜひ扱ってほしい買い手のブースに、こちらからうかがえるのが、とてもいい。バイヤーがどんな商品を扱っているのかが事前の資料提供で分かるので、話がしやすいです。
「こういった商品を探していた」という声をいただけました。また相手が求めていることも分かるので、勉強になります。参加してよかった。

毎回新規企業と契約

丸正醸造(松本市出川町)社長

林信利さん(48)

参加は4回目。みそ、しょうゆを中心に、わさび醤油(しゅうゆ)ドレッシングなどを提案しました。
商品を展示し、バイヤーが回る一般の展示会では、興味のない所は素通りで、せっかくの商品を見落とすこともあります。この商談会では毎回2、3社の新規企業と契約でき、効率がいいです。すでに取引がある企業には、新商品、売りたい商品をPRしています。
バイヤーの多くが、それなりの数の店舗を持ち、品質管理もしっかりしている。売り手もしっかり品質管理をすることが大切だと、改めて意識させてくれる機会になっています。

 

買い手(バイヤー)の声

県産材料で共に商品開発を

デリシア(松本市今井)
商品部「信州そだち」
開発担当マーチャンダイザー

小澤寿利さん(35)

 プライベートブランド(PB)商品の開発に携わっています。その中で、県産材料にこだわった商品を、県内で売りたいと思い、参加しました。
 県産材料を使った商品を一緒に開発できる企業を求めています。地産地消、県の活性化につながる取り組みになればいいですね。
 スーパーで売れる物、普段使ってもらえる定番の物など、幅広いカテゴリーで、メインになる食品を中心にいい商品があればいいです。
 サプライヤーが買い手を選び、熱意を持って話してくれる。気になる企業は2社あり、これをきっかけに、商品が生まれればと期待しています。

求められる本物志向

長野県観光機構(長野市)
物産振興部特産品コーディネーター佐藤弘美さん(52)=右、水越千絵さん(37)

 銀座NAGANO(東京都)、信州名産SHOP(名古屋市)で扱う商品を探しています。
 県の青果を使い、あまり形を変えない物がいいです。なおかつ、今の消費者の好みに合った容量の物が望ましいです。
 商品がいいだけでなく、ラベルのデザインなども良くないと、手に取ってもらえません。名古屋では、青果が売れます。東京でも、農産物の占める割合が増えています。プルーン、ワッサークイーンなど、県内でしか食べられない物がいい。不純物が入らない、有機栽培など、本物が求められています。

現代的なデザインの物を

東急ハンズ長野店(長野市)店長、後藤千夏さん(47)=右。新商品開発PT(東京都)バイヤー中大路順子さん(40)

 長野店では、地元の生産品を売るブースを設けています。春や、母の日ギフトの新商品の掘り起こしを目的に参加しました。
 東京では、1社だけでなく、数社まとめて、長野フェアをしたいと考えて参加しました。ホワイトデー、母の日とギフトの機会が続くので、1社だけでも商品を取り入れたいですね。
 無添加、県内でしか栽培していないフルーツなど、興味深い商品がいっぱい。
 対面販売ではないので、手に取ってもらい、内容が伝わる物がいいです。現代的なパッケージデザイン、サイズの物が欲しいです。

消費者期待の信州ブランド

アルピコ交通(松本市井川城2)

林伸二郎さん(51)

 諏訪湖サービスエリア(SA)上り線で、日ごろ扱っていない商品があればと、参加しました。
すでに取引がある業者も来ていますが、新商品を紹介してもらうことができました。
 諏訪湖SAは基本的に県外客です。名産、収穫量が多いといったことより、消費者がイメージする信州にからめた商品が出る傾向にあります。野沢菜、そば、おやき、ワサビの他、みそを思い浮かべる人も多いです。
 アルコールなど、扱えない物を持ってくるケースもあり、あらかじめマッチングしておけば、さらに有意義な時間になると思います。