2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

[創商見聞] No.32 神倉 藤男 (株式会社信栄食品 代表取締役)

松本発の〝ギョーザ〟世界へ

―創業以来、ギョーザの製造一筋
 創業当初は中華点心の製造を手掛け、15年ほど前からギョーザに特化して今日を迎えています。OEMブランドから派生した会社であるので、お客さまの食の安全を第一に考え、商品とともに安心安全を届けることが経営の理念の根幹であり、イコール、お客さまの笑顔と考えています。
 ただ、これまでは国内の需要に対応するだけでよかったのですが、少子高齢社会となり、国内での需要が徐々に見込めなくなる。今後、どういう形でやっていけばいいのか、何ができるかを考えました。
―それが自社ブランド「松本一本ねぎ餃子(ギョーザ)」の開発であり、海外輸出
 商工会議所から、自社ブランドの構築を模索している中でアドバイスをいただいたのが始まりです。私たちの工場の近くで伝統野菜の「松本一本ねぎ」を生産している畑があり、生産者、商工会議所、私たち製造メーカーで、地元の特産品をうまく世の中に出していかれればという6次産業化の取り組みで「松本一本ねぎ餃子」が開発されました。
 海外輸出についても同時期ぐらいから始めました。私自身、食品を輸出する仕事をしていた経験があり、もう一度海外に挑戦してみようと考えてみました。3年前から海外事業も軌道に乗ってきました。
 現在はシンガポール、香港、タイ、オーストラリア、ニュージーランドで展開。シンガポールをハブにしてインドネシアやマレーシアにも輸出を行っています。
 シンガポールについては直接貿易をしており、松本から専用のコンテナにギョーザを詰めて港まで運び、シンガポールまで届けています。
 食品の輸出に関しては、商工会議所の原産地証明の提出が前提で、海外輸出においても、重要な課題等に詳細なご指導をいただきました。
―その背景には経営の根幹「安心安全」がある
 OEMを手掛けるということは、万が一何かあった場合、迷惑をかけるのは取引先のスーパーであり、飲食店。そこで、「安心安全」に関しては厳しく取り組み、食品の安全規格「ISO22000」、さらにその上位規格「FSSC22000」の認証など常に最新のものを取得してきました。
 当社のギョーザは過去に、ANAの国際線ファーストクラスのラウンジ食や東京ディズニーランドのオフィシャルホテルのバイキングメニューとしても扱ってもらい、PR効果もあり拡販につながっていると確信しています。
 「安全安心」の意識を社員と共有するために、定期的な社員ミーティングのほか、社員と私との間で月間目標を交わし、自分たちの目標値を決めて、それに対する自己評価を一人一人についてアウトプットしています。自己評価を公表することで職務に対する責任感が生まれます。これらを継続的、連続的に実施しており、緩やかながら前進できていると実感しています。
―社会貢献活動として、市内の小学校でギョーザ教室を開いている
 今年で4年目です。少子化が進む中、子どもたちは本当に社会の宝。自分たちが生まれ育った地域の伝統野菜を次世代につなげていってもらうために、教室を通じて、食べ物が体に大切なこと、「味覚」を身体で感じること、作ることの楽しさ、家族だんらんなどを伝えています。子どももとても喜んでいて、街で出会って「ギョーザのおじちゃん」と呼ばれたこともあります。
―今後の展開は
 健康に良くておいしい食品の開発はこれからの一つのキー。また、インバウンドの観点からは既に商品はありますが、ベジタリアンやビーガン(肉や魚、乳製品を使わない料理)に対応したギョーザの販路拡大も考えています。
 社内においては、当社は若い社員、女性社員が多い。社員は家族だと思っており、まさに自分の〝子ども〟です。その子どもたちが長くこの会社で働き続けていかれる環境を整えていきたいと考えています。その一環として、今年4月から週休2日制を実現すべく環境づくりに努めています。
 松本で創業して20余年。これからも松本に根付き、松本に全てをささげるつもりで事業を行っていきます。商工会議所をはじめ、企業のための指導機関というものがしっかりしているのも松本の魅力です。

【かみくら・ふじお】 群馬県伊勢崎市出身、50歳。1997年、食品商社勤務などを経て創業と同時に社長に就任。大手食品メーカーでは米国勤務の経験があり、ギョーザ輸出を手掛けた。