2020.11.19 日本地域情報コンテンツ大賞・タブロイド部門で2年連続優秀賞

紅葉のステージに星の円舞(穂高連峰・涸沢カール)

標高2520メートル、赤く燃えるウラジロナナカマドの群落の舞台上で同心円状に星々が踊る=ニコンD5 ニッコールAF-S16ミリで1時間露光

夜空の主役たち次々と舞台に登場

色鮮やかに燃える紅葉のステージのはるか上に、満天の星が静かにきらめく。陰暦17日目の「立ち待ち月」に当たる今月5日、北アルプス穂高連峰の涸沢カール。次々と舞台に登場する夜空の主役たちを16ミリレンズで追った。
午後10時半。W形のカシオペヤ座が頭上近くまで昇り、はくちょう座が銀河の中で羽ばたく。「夏の大三角(デネブ、ベガ、アルタイル)」が西の空に傾き輝いている。この時季の代表的な星座ペガスス座の明るい4つ星が「秋の四辺形」を形作り、天頂へと進んでいく。星々の位置が秋の深まりを教えてくれる。
6日午前0時。奥穂高岳と前穂高岳を結ぶ吊尾根の向こうに木星と土星が消えていく。東の空が、明るい星座でにぎやかになってきた。北東の空には、ぎょしゃ座のカペラ。赤味を帯びたおうし座のアルデバラン、ふたご座のポルックスが後を追う。昨年から輝きが暗くなり、天文ファンを心配させたオリオン座のベテルギウスが、明るさを取り戻し昇ってきた。
午前2時。前穂高岳に続く北尾根Ⅴ峰の上に、夜空で最も明るい恒星が姿を見せる。おおいぬ座のシリウスだ。今度は「冬の大三角(ベテルギウス、シリウス、プロキオン)」が主役に躍り出た。
月明かりに照らされた氷河圏谷の秋の一夜。紅葉の舞台上で、北極星を中心に繰り広げられた星の円舞に酔いしれた。
(丸山祥司)