氷河の大地を彩る「地上の銀河」(穂高連峰涸沢カール)

アンドロメダ銀河の渦巻きを連想しながら撮影した涸沢カールのテント場の夜景=ニコンD5、ニコンED AF-S ニッコール28-70ミリ 10月3日午後8時半

圏谷に輝く色彩豊かな渦巻き銀河

山岳紅葉を楽しむ登山客でにぎわう北アルプス穂高連峰・涸沢カール。今月3日、1000張近いテント場の夜景が「地上の銀河」さながらにきらめいた。
午後8時半。涸沢ヒュッテの展望テラスから見下ろす。赤、黄、青、ピンク、橙(だいだい)、緑、紫…。カラフルなテントの明かりは「光のページェント」のようだ。
「地上の銀河」の上空には、本物の銀河を含む無数の星々が散りばめられたように広がる。
北アの最高峰、奥穂高岳(3190メートル)から鮮やかに立ち上るように続く天の川。北東方向の流れの中に視線をやると、「W」の文字を左向きにしたカシオペア座が存在感を際立たせている。北穂高岳東稜(りょう)の上には北極星が輝く。下界から見る姿とは異なり、2等星とは思えないほど明るい。北極星とカシオペア座のWの真ん中の星を結んだ線を3分の2ほど延ばしたところに、アンドロメダ銀河の光芒(こうぼう)が肉眼でもぼんやりと見える。
「アンドロメダの雲は魚のお口のかたち…」。今夏の東京五輪閉会式に出演した女優の大竹しのぶさんと杉並児童合唱団の子どもたちが歌った宮沢賢治の「星めぐりの歌」が脳裏をよぎった。アンドロメダ銀河の渦巻きがテント場の明かりにオーバーラップし、中心となるテントを定めてカメラを回転。イメージした「地上のアンドロメダ銀河」の渦巻きを表現してみた。
(丸山祥司)