光芒一閃のレンゲツツジ花舞台(松本市・袴越山付近)

流れる霧の切れ間から差し込んだ一筋の光芒と、満開のレンゲツツジが共演し、一瞬の光彩を際立たせる=ニコンD5、ニコンEDAFVRニッコール80~400ミリ、6月16日

わずか3秒間大自然の光ほほ笑む

松本市の美ケ原林道沿い、標高1720メートル付近は、レンゲツツジが広がる袴越(はかまごし)群生地として知られる。6月16日早朝、流れる霧に包まれた幻想的なレンゲツツジの花舞台で、神秘的な驚きの光景と出合った。
突然、濃霧が割れたかのように日光が差し込むと同時に、一筋の光芒(こうぼう)がパッと眼前に輝き、現れたと思う間もなく瞬時に消えた。スピリチュアルな、ドラマチックな雰囲気が漂う一瞬の光彩。幻か、夢だったのか…。潜在意識の光彩にシンクロしたのだろうか?と自分を疑った。
撮影したデータを確認し驚いた。午前7時37分。樹間から差し込み輝く一筋の光芒を2枚ははっきり捉え、3枚目ですでに消えかかっている。連写した撮影データから割り出すと、わずか3秒間だけ大自然がほほ笑んだ光だった。
「光芒一閃(いっせん)」という四字熟語がある。光芒とは、尾を引いているように見える光の筋や光の穂先の意。一閃はぴかっと一瞬光ることをいう。この朝レンゲツツジの花舞台で出合ったのは、まさに光芒一閃の光彩だった。
レンゲツツジは、ツツジ科ツツジ属の落葉低木。名前の由来は、花と葉が輪状に並ぶ様子を、ハスの花「蓮華(れんげ)」に例えたり、大きなつぼみの形状が食事に使う陶器の蓮華に似ているなど諸説ある。花の蜜にも毒がある有毒植物として知られ、オニツツジの別名もある。
(丸山祥司)