厳寒の朝現れた「太陽柱」と「黄金の十字架」(塩尻市)

八ケ岳のシルエットの向こう側に現れた「黄金の十字架」=塩尻市の高ボッチ高原
2020年12月6日午前6時53分、ニコンD5ニコンEDAFVR-ニッコール80~400ミリ ハーフND

雲流れる朝焼けの空に輝く光彩

塩尻市の高ボッチ高原で、光の柱が天空に向かってすっくと立ち昇る日の出に出合った。
昨年12月6日、八ケ岳連峰のシルエットが早朝の空にくっきりと浮かび上がった。最高峰の赤岳(右側・2899メートル)と横岳(2760メートル)の間から放たれる光彩。目がくぎ付けになった。寒い季節に現れる「光柱現象」。太陽が光源なので「太陽柱」と呼ばれ、「サンピラー」(sunpillar)とも。滅多に見られない大気光学現象だ。
太陽柱は、雲の中にできた六角板や六角柱の氷の結晶(氷晶)に太陽の光が反射して出現する。
雲の流れに合わせて、まるでマスゲームのように刻々と表情を変幻させる朝焼けの空。撮影しながら見とれていると、目を見張る光景が現れた。垂直と水平の光がつくりだした「黄金の十字架」だ。水平の光は、背景にある大きな雲の下側の縁が朝日に照らされて輝いている。
言葉では言い表せない光彩に心が震えた。人はこの光景を前にした時、ただ祈るしかないらしい。「早くコロナ禍が終息しますように…」。気が付くと自然に手を合わせていた。最もパワーを感じる日の出の時間帯に出現した「黄金の十字架」。コロナ疲れの人間社会に、癒やしと希望と生きる力を与えるために現れたかのようだ。
厳寒の朝の大自然からの贈り物に感謝である。
(丸山祥司)