サンセットに現れた「吉兆」の龍神雲(松本市入山辺)

「黒龍」のような龍神雲。夕日はまるで龍がつかむ「宝珠」のよう=ニコンD5 ニッコールED AF-S 1200ミリ、6月20日午後6時46分 松本市入山辺・よもぎこば林道

自然が生み出す荘厳な光彩

6月20日、松本市入山辺のよもぎこば林道からの夕景に思わず見とれた。沈みゆく太陽に「黒龍」を連想させる濃い雲。人間の力では決してつくりだせない荘厳な光彩に心が震えた。「太陽の中の龍神を撮る」は長年、記者が抱き続けてきたテーマの一つ。過去、何度も構図を脳裏に描いてきただけに、目の前に現れた光景は、不思議にもどこかで出合ったような懐かしさを感じた。
午後6時40分。劇的な光景は、突然訪れた。夏至を前に、曇り空で一日が終わろうとしていた矢先のこと。北アルプス上空で「雲のファスナー」が開き、急に夕日が差し込んできた。
6時45分。太陽の前を左から右へ変幻しながら移動する横並びの雲の一団に目が留まった。頭のように見える雲から角らしきものも現れ、龍に少し似てきた。「もしかしたら…」。期待が膨らむ。
頭と首がつながった。次第に太くなり、リアルさを増してくる。「脚がでてきますように」。そう念じていると前脚が現れた。「黒龍の龍神雲だ!」。以心伝心?大自然との間にそんなことがあるはずが無い。「偶然だよ」と否定したものの鳥肌が立った。長年抱き続けた潜在意識が大自然とシンクロしたのかも。不思議だ。
龍雲は幸運の前ぶれ=吉兆とされる。それがなぜ今?コロナ禍の行方と関連づけて考えずにはいられなかった 。
(丸山祥司)