山雅×北ア

ツアーで交差 乗鞍高原で学び、運動

「山雅好きを山好きに」「山好きを山雅好きに」。そんな合言葉で、北アルプスに広がる中部山岳国立公園を管轄する環境省と、松本山雅FCを運営する株式会社松本山雅がコラボしたツアーが6、7日、乗鞍高原で行われた。事業協力団体の信濃毎日新聞社が発行するMGプレスが同行、様子を紹介する。
「山」と「山雅」を一緒に楽しもう-。そんな言葉遊びのようなアイデアから、新しい旅が生まれた。コロナ禍で中部山岳国立公園の観光が打撃を受けたことから、盛り返しの一策に-と、同省が発信力のある山雅に持ちかけた。
大自然の中で体を動かし、宿で山雅やライチョウのことを学ぶ。下山した後は、サンプロアルウィンで山雅に熱い声援を送る。ツアーはそんなスケジュールだ。
出発日、松本市大手4「喫茶山雅」にツアーの参加者約20人が集まった。長年の山雅サポーターがいる一方、サッカーにはほとんど縁が無いという山岳ファンも。翌日の山雅必勝を期し、昼食ではカツカレーを味わった。
ツアーは、以前からJリーグと社会貢献活動で連携していたフューチャーセッションズ(東京)が間に入り、山雅や旅行会社をつないで実現した。「国立公園を舞台に山雅らしさをどう出すかを意識した」とフ社の上井雄太さん。「楽しみながら旅を終えたら自然環境により敏感になっていた、となればいい」
ツアーのシンボルはライチョウだ。北アに生息する絶滅危惧種で、山雅のマスコット「ガンズくん」のモチーフでもある。添乗員がガンズくんの縫いぐるみを持って先導した。

プログラムには、「山」の要素が強いものもあれば「山雅」が前面に出たものも。参加者はあいさつ代わりに、それぞれが用意した山雅カラーの緑のお菓子を交換。山雅スポーツクラブのスタッフの指導で、ボールゲームを楽しんだ。
標高1600メートル、紅葉真っ盛りの山に囲まれて体を動かすと、心もほぐれる。サッカー少年の猿谷(さるや)晋太朗君(9、御代田町)は「意外とおとなの人がうまかった。楽しかった」。老若男女がすっかり打ち解けた。
宿では、環境省の調査にも関わった山岳ガイドの原口剣太郎さんが「強い雄が上の縄張りを取る。ライチョウは頂を目指す」と山雅の応援フレーズを交えて生態や温暖化の影響を解説した。
2日目は林道でたっぷり3時間、山の空気を堪能した後、サンアルに移り、今季最多の7750人が入った観客席でアルビレックス新潟戦を観戦。スタジアムから望む乗鞍岳が夕日に染まる中、旅は終わった。
山雅サポーター歴16年の中島(なかしま)照夫さん(66、塩尻市洗馬)は「私より山雅の昔を知る人とも話せた。山は久しぶりだったが、晩秋を楽しめた」。飯田市に移住して2年目で、山雅を「サンガ」と呼んでいたという山好きの加藤栄治さん(66)は「山を通じて地元チームのファンになる機会ができてラッキー」。妻の直美さん(59)も「スタジアム周辺の公園も素晴らしい。連れてきてもらわないと知らなかった」と笑顔を見せた。
山と山雅の相性を検証する「モニターツアー」でもあった今回。山雅営業部の茂原諭さんは「乗鞍の景色を背景にしたボールゲームは最高のレクリエーション。山雅の発信力を使い、ライチョウの魅力も借りながら、ツアーをバージョンアップできれば」と手応えを語った。