【小林千寿・碁縁旅人】#38 ハロウィーン

ドイツ・ハンブルクのスーパーマーケットのハロウィーンの飾り

今年も長野県は大きな災害を受けず、秋の実りのブドウ、リンゴ、米などが豊作のようで嬉(うれ)しいです。
そして、最近は日本にも定着した10月31日に行われるお祭り「ハロウィーン」が近づき、松本市内を散歩しているとカボチャの飾りが見られます。
私が「ハロウィーン」を知ったのは、1980年8月から半年ほどニューヨークを拠点に米国で囲碁の普及をしていた時。マンハッタンのセントラル・パークが見える高層ビルの21階だった1LDKの住まい(家賃は月700ドル。今は家賃が高騰!)の近くにあるスーパーマーケットの店員さんから「明日は『ハロウィーンよ!』」とウキウキと話しかけられ、初めて知りました。
元々は古代アイルランドに住んでいたケルト人が起源と考えられる収穫祭で、魔除(よ)けの儀式でしたが、米国では民間行事となり、顔をかたどってくりぬいたお化けカボチャ「ジャック・オー・ランタン」を飾り、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近所を回って「Trick or Treat(悪戯(いたずら)がいい?それともお菓子くれる?)」と尋ねながら、お菓子をもらう風習になりました。
それが、この15年ほどで日本ではコスプレと見事に合体。東京の六本木、渋谷辺りに日本中から、そして近年は世界中から、日本漫画に始まったコスプレファンが集結して大人気になっています。
私は10年ほど前のハロウィーンの夜、英国から観光に来ていた家族の滞在先の六本木で偶然待ち合わせたため、半端ない扮装(ふんそう)の国際的な人混みの中を歩く羽目に遭いました。
コロナ禍で数年、観光客が入国できませんでしたが、個人旅行が解禁された今、続々と世界中の観光客が訪れ始めています。きっと今年のハロウィーンの街中は、コロナ前のようににぎわうでしょう。
それにしても、日本は不思議な国です。他国のお祭り、食べ物、習慣をウワバミのようにのみ込んで、いつの間にか「日本風」に昇華させる才能抜群の国です。(日本棋院・棋士六段、松本市出身)