MG杯ガールズエイトサッカー松本ウィングV

小学生女子サッカーのMGプレス杯第20回ガールズエイト(U─12)県大会(5、6日・塩尻市中央スポーツ公園サッカー場)は、松本ウィングの5、6年生チーム(プレミア)が優勝した。松本ウィングの大会制覇は4年ぶりで、7度目は最多。ボールを「止める」「蹴る」「運ぶ」基礎技術の高さで、他チームを圧倒した。

基礎技術の高さで圧倒

8人制。前後半15分ずつ。決勝で波田FCバンビーナと対戦した松本は前半8分、右サイドを駆け上がった矢﨑由菜(鎌田6)からのパスを、宮澤沙希(同)が蹴り込んで先制。後半5分には鬼久保遥花(島内6)が狙い澄ましたロングシュートを決め、さらに10分に宮澤がゴール前で相手ボールを奪って3点目。この試合を含む大会全5戦を無失点で終えた。
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波田は準決勝で、エース宇田川紗希(梓川6)の2ゴールでFCスワン(諏訪)に逆転勝ち。勢いに乗り、決勝も動きよくボールを奪いに行ったが、二人がかりでも失わない松本が、一枚も二枚も上手だった。
3~5年生チーム(ドリーム)と2チームで参加した松本は、決勝は交代メンバーがいなかったが、小林雅範監督(51)が「基礎技術はどこにも負けない」と自信を持つ8人が、冷静かつ正確なパス回しで両サイドを突くスタイルを徹底。
敵陣でボールを奪われても奪い返す技術と闘争心を兼ね備え、女子に多い浮き球を怖がる様子も皆無なのは、地域のリーグに参加して男子チームと競い合っているのに加え、メンバー全員が少年団チームにも所属し、男子に交じってプレーしているのが大きい。
6年後の信州やまなみ国民スポーツ大会(国体)に向け、少女年代も強化に力が入る中、松本の選手たちは基礎技術の高さと気持ちの強さが、勝利につながることを改めて示した。

【決勝トーナメント結果】▽1回戦 波田3─0トップストーン・ロゼッタ(上伊那)、FCスワン2─0FCフェローズレディース(長野)、アザリー飯田フィエット1─1(PK2─1)FC佐久インテンザ、松本ウィングプレミア17─0上田FCフィリア▽準決勝 波田2─1スワン、松本プレミア2─0飯田▽3位決定戦 スワン5─0飯田▽決勝 松本プレミア3─0波田

元なでしこGK2人が指導

女子サッカーの普及も目的にする大会は20回を記念し、元日本女子代表GKで2011年女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会優勝メンバーの海堀あゆみさん(36)、15年W杯カナダ大会準優勝メンバーの山根恵里奈さん(31)を招き、参加選手対象のGK講習会を2日目に開いた。
二人は県協会の女子GKコーチとともに、ボールをお手玉のように扱って見せ、キャッチの仕方や手の位置、捕球後のグラウンドへの転がり方などを指導。
「ボールや地面とけんかしない」「倒れ方は“かわいく”」など、選手が親しみやすい言葉をかけながら回り、主に痛みやけがを避けるための技術や姿勢を教えた。
選手が交代でGKを務めている安曇野グリーンヒルプライマリーの佐藤美咲主将(穂高北6)は「知らないことが多かった。GKの技術を知って、やってみたいと思った」。
この日は正GKに代わり、ゴールを守ったFC大町プチタフィタの田中結愛主将(大町西6)は「手を『こんにちは』の形にして、ボールを迎えるようにキャッチする」とうなずいていた。

海堀さん、山根さんからメッセージ

世界を相手に戦ってきた海堀さんと山根さん。将来の「なでしこジャパン」を目指す選手や、保護者へのメッセージを寄せてもらった。
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海堀さん】 「夢の実現に近道はない。今できることを、一生懸命やってほしい。夢は一人ではかなえられない。たくさんの人のサポートを受け、感謝しながら自分で道を切り開こう。
W杯の優勝メンバーだって、同じ道を歩んだ人はいない。それぞれが道を切り開いた。やると決めたことを追究し、自信が持てる自分でいてほしい。でも、人生は一つじゃない。夢は、途中で変えたっていい」
山根さん】 「今は自分が面白い、楽しい、やりたいと思うことを見つける段階。その中から続けること、やめることを自分で選ぶ力を身に付けて。大人はそのきっかけづくりや、気づきを促してほしい。
親は、子どもに期待を押し付けないで。子どもの力を、親が理解することも必要。海外では結果だけでなく、そこに至る過程や努力が褒められる。日本もそうなってほしい」