敬老の日イベント 音楽楽しむ7人組高齢者バンド演奏

仲間と楽しむのが若さの秘訣

「Forty(40)─Love(0)(フォーティラブ)」。テニスの得点の数え方。あと1ポイント取れば、そのゲームを獲得でき、仮にマッチポイントであれば、試合に勝利する状況だ。
「ほとんど勝ちが見えているが、ここから逆転されることだってある。自分たちも心身共に油断せず、気を引き締めていこうということだ」
こう語るのは、安曇野市を拠点に活動するバンド「Forty Loves(フォーティラブズ)」リーダー、杉下勝彦さん(同市穂高有明)。御年78歳。
メンバーの平均年齢は73歳、活動は約3年。今年はステージに立つ機会が多く、9月17日には「敬老の日特別イベント」として、安曇野しゃくなげの湯(同)で演奏会を開く。音楽を楽しむことにかけては“超一流”のバンドだ。

70の手習いから演奏デビューへ

8日、バンド「Forty Loves」のメンバーが安曇野市の穂高会館に集合。17日の演奏会のほか、今後、出演するイベントに向け、大詰めの練習をした。
リーダーの杉下勝彦さんはドラム担当。スティックで「ワン、ツー、スリー」とカウントを取って、演奏スタート。この日は「亜麻色の髪の乙女」や「熱き心に」など、ポップスや歌謡曲を練習した。
途中、演奏が止まりそうになったり、音が外れたりすることもあるが、何のその。1曲演奏し終わった後に見せる、メンバー全員の満足感にあふれた笑顔がとてもいい。
Forty Lovesのメンバーは杉下さんのほか、ギターの小平幸男さん(75、同市穂高)、ベースの佐藤孝夫さん(70、松本市南松本)、キーボードの後呂和男さん(75、安曇野市三郷明盛)、満喜子さん(67)夫妻、MC担当の池田憲昭さん(72、同市穂高)に、あづみ野エフエムのパーソナリティーでボーカルの中柴香苗さんを加えた7人組。
テニスが大の趣味の杉下さんは、2020年に「70の手習い」でドラムを始めた。テニス仲間で、若い頃からギターに憧れを抱き、50代後半から習い始めた小平さんを相棒に、その年に演奏デビューしたのがバンドのルーツだ。

趣味仲間からバンド仲間に

8日の練習を見学した宮田伸二さん(73、同市穂高牧)は、杉下さんのドラムの「師匠」。かつて自身もバンドを組んでいた。「3年前と比べたら、それは腕を上げた」と笑顔を見せた。
演奏デビュー以降、テニス仲間を中心にバンド仲間も増え、現在の形になった。
山が好きで、約10年前に名古屋市から安曇野市に移り住んだ後呂夫妻。満喜子さんは子どもの頃にピアノの経験はあるが、和男さんは60歳から始めた。「同じ趣味の仲間が増えていい」と口をそろえる。
大阪府出身でテニス仲間の池田さんは、楽器演奏はできないが、なぜかバンドメンバーに。「バンドを応援しているうちに関西弁を生かした『MCをやれ』と任命された」と理由を明かす。
バンド練習は月数回、決まった日に行うが、「飲み会」となると、いつでも「さっと集まる」のがこのバンドの長所という。
杉下さんは「若さの秘訣(ひけつ)は仲間をつくって、スポーツや音楽を楽しむこと。それが一番」。力強くそう語る声が若い。
17日は午後4時開演。入場無料。問い合わせは杉下さんTEL090・6925・7488