松本市中川の木工作家・梅川さん木の家具展 「入魂の作品」展示

松本市中川の木工作家・梅川尚茂さん(71)は今月の毎週金~日曜、同市赤怒田のギャラリー「torch.(トーチ)」で個展を開いている。メインは長年作りたいと思っていたアンティークチェアをイメージした新作の椅子。「これを作らずに死ねるか」と挑んだ力作だ。
約50年前、家具職人の駆け出しだった梅川さんは、17世紀ごろに作られた英国のウイングチェアと出合った。暖炉の近くで使う椅子で、風を防ぐために高い背もたれの頭部周辺が広がっていた。「存在感があり、座り心地もいい」。いつかこんな椅子を作ってみたいと思っていたが、作り方が分からなかった。
木工の知識と経験を積み、構造のイメージがようやく見えた今年2月、思い立って制作に取りかかった。「重く大きな木を切るため体力がいる。年齢的に今がチャンス」。アレンジを加え原型とは違うものとなったが、「包まれているような安心感を表現したかった。これができただけで幸せ」と満足げ。平らでない場所でも安定する三本脚は、原型に倣った。座板の分厚さにもこだわり、「ぜひ実際に座ってみてほしい」。
スツール、珍しい椿の棒で作った照明、木の器なども展示販売。土蔵を改装したギャラリーは福寿草群生地の目の前にあり、次女でニット作家のまほさん(39)が2年前にオープン。個展は今展が初めてで、普段は月末の週末のみ市内の作家の作品を常設している。
午前11時~午後5時。