作品手元に置けない―東山包美術館が桑村恭子さんの絵画15点展示販売

池田町会染の東山包(つつむ)美術館は3月31日まで、安曇野市内の介護施設で夫と暮らす桑村恭子さん(82)の絵画15点を展示販売している。中信展や県展などで活躍し、個展も重ねた桑村さんだが、現在は作品を手元に置くことができないため、事情を知った同美術館が企画した。
さまざまな素材を貼って描いたコラージュ作品が多い。「不思議の国の魚」は、画用紙とエジプト産の砂を何度も重ねて制作。他の作品も、粘土が乾いてできた模様をヒントにするなど、「自然現象から素材を得、再構成するのが面白い」と話す。
「順列と組み合わせ」はフキの葉を抽象化して表現した。「縄文の詩(うた)」は4枚1組で、赤土や黒土を思わせる色彩。土偶や土器などを描いた。
札幌市生まれ。2000年、大阪から安曇野市に移住して絵画を始めた。多くの作品を生み出したが、22年に夫が病気になったため、昨年2人で介護施設に入所。本人は健康なため、「絵画を続けたいが、居住空間の関係で、今までの作品すら置けない」と嘆く。
それを知った知人の秋本健司さん、多喜子さん夫妻(豊科)と斉藤康子さん(同)が、厳選した15点の扱いなどを同美術館に相談。館長の師岡昭二さんが個展を提案した。桑村さんは「大勢に見ていただき、手元に置いてくれる人がいたらうれしい」。
作品は4~100号。販売額は相談で。午前10時半~午後4時半。木曜休館。同館TEL0261・62・5078