「テンホウ」転生 本気の「鶏そば」 堀金店一新し新業態の「鶏そばてんほう」

既存店の常識覆す自慢の味を

「おいしくて早くて安い」を掲げ、県内に33店舗を展開するラーメンチェーン店「みんなのテンホウ」。「毎日食べても飽きない、究極の当たり前の味」を目標に、多くの人に愛されてきたが、13日、新たな一歩を踏み出す。安曇野市堀金烏川の堀金店が「鶏そばてんほう堀金店」に生まれ変わる。
近くに他のテンホウ店舗やラーメンを出す店がある上、少子高齢化、人口減少といった社会状況も踏まえ、松本平の店長たちから「新しい業態が必要ではないか」といった声が上がっていた。
「当たり前の味」を越え、本気でラーメンを作ったらどうなるか―。スープ、麺、薬味にもこだわり、完成させた鶏そば。店構えや丼、制服など、全てを変えて世に出していく。

商圏課題解決へ2年前計画始動

13日、「みんなのテンホウ堀金店」は「鶏そばてんほう堀金店」になる。これまでの濃縮スープとは異なり、店で岩手県産のみちのく清流鶏からスープのだしを取る。麺は細めのストレート、チャーシュー(鶏、豚)、かえしなど、全てスープに合わせて開発した。店舗は和風に改装し、メニューも鶏そば中心に刷新した。スタッフの制服、食器も新しくする。「てんほうであってテンホウでない」店の誕生だ。
1956(昭和31)年に諏訪市で創業、73年に株式会社テンホウ・フーズとなった。現在は県内に33店舗を持つ信州発祥のラーメンチェーンだ。「おいしすぎる」を追求せず、毎日食べられる当たり前の味をモットーに、大衆食堂、町中華として浸透している。
多くの人に愛されているが、新しい形態の店の必要性が話されたのは2年ほど前。松本平の店長が集まった時という。堀金店から見ると、半径2キロ以内にカインズ豊科店、穂高店とテンホウ2店がある上、面した通りにはラーメンを提供する飲食店が多い。少子高齢化や人口減少も折り込むと、何か手を打つ必要がある―。「店舗の新業態プロジェクト」はすぐスタートした。

各店店長が協力 高評価得て勝負

スープを開発したのは、堀金店の市川純基店長(37)。各地のブランド鶏20種近くを試し、ようやく理想の味にたどり着いた。スープに合わせ、穂高店の店長がチャーシューを、カインズ豊科店、諏訪店の店長がかえしをと、複数の店舗の若い店長が協力して完成させた。「仲間で作り上げた味。みんなのテンホウの心意気はそのままです」
さっぱりしているのにこくがある。しっかり鶏を感じるのに臭みがない―。昨年10月から、堀金店で「鶏そば」を試験的に提供している。食べた人から「高級でこだわり抜いたスープ」「こんなに本格的とは思わなかった」などの感想をもらった。多い月は、一番人気のタンタンメンと同じくらい出るほど好評で、自信を深めた。
「まずここで勝負」と市川店長。同社は今後、鶏そばの店を広めたり、みそラーメンなど別のコンセプトの店を開店したりすることも視野に入れる。「究極の普通を飛び越え、本気を出し、背伸びをして作った鶏そば。ぜひ一度食べてほしい」。見た目からテンホウの常識を覆しているという自慢の味だ。
午前11時~午後3時と5~9時。鶏そば(塩、醤油)各890円。鶏つけそば920円。味玉入りや鶏つくね入りの上鶏そばなどのメニューもある。TEL0263・88・8142