「音楽好き」が営むユニークな電器店 松川村の奥原始さん

サウンドプラザ電化のオクハラ 松川村

ここは電器店?それとも楽器店?松川村の「サウンドプラザ電化のオクハラ」店内には、ギターやスピーカーが所狭しと並ぶ。テレビや冷蔵庫などの家電中心の電器店とは、イメージがだいぶ違う。音楽好きのオーナー奥原始さんの志向を反映し、徐々に増えてきたという。
中学生の時に真空管アンプを作って以来、音楽を通じていい音を追求してきた。青春時代はグループサウンズの全盛期。高校卒業後はエレキギター製造会社に就職、バンド活動も始めた。
1974(昭和49)年に電器店を開店。当初はオーディオを含む家電だけを扱ったが、顧客の開拓をとギターを置くようになり、今では楽器店に見えるほどだ。「楽しそう」と店に入ると…。

オーディオの種類や数多く

サウンドプラザ電化のオクハラ。店内には、ギター約180本が壁に掛けられたり、置かれたりしている。エレキあり、アコースティックありで、メーカーも年式もさまざまだ。持ち込まれた中古品、新品もある。掘り出し物もありそうだ。
スピーカーも中古品が100セットと、圧を感じるほどの数だ。バンドを描いたアニメ「けいおん」のフィギュアも置いている。多様性があり、ユニークな店だ。「新品のスピーカーは取り寄せます」という。
オーナーの奥原始さんは、「音楽をいい音で聞きたい」と中学生の頃、自作オーディオの世界に踏み込んだ。高校卒業後に勤めたエレキギター製造会社では、ギターの不具合をチェックして直す検査の仕事をした。バンド活動も始め、現在は「安曇野ベンチャーズ」でドラムを担当。ギターを弾くこともある。
創業した「電化のオクハラ」でも、「家電だけでは面白くない」と、オーディオ機器をたくさん扱った。「メーカーによって音質が違い、奥が深い」
ギター製造に携わったこともあり、25年ほど前から店でギターを扱うようになった。バンド仲間が持ってきたり、音楽を諦めた人が下取りに持ってきたりして、どんどん増えた。「最初は家電で始めたはずだが…」と首をかしげつつ、「ギターの不具合を直すなど、会社員時代の技術が生きている」と話す。

多様性ある店バンド活動も

同じ種類のものはほとんどなく、県外から買いに来たり、自分が持ってきたギターとトレードしたり。弾くのではなく、飾るオブジェにしたいと訪れる人もいる。「楽器店と勘違いしているんじゃないかな」と奥原さん。
エレキギターは中古や新品の「モズライト」(15万~26万円ほど)といったものから、初期の日本製エレキギター(1万2800円)なども。エレキシタール(18万円)といった珍しいものもある。「初期のエレキはステンレス製。味があっていいよ」
「家電の仕事が9割」というが、「オーディオの在庫は、県内一あるんじゃないかな」。店の奥には、80年ほど前の木製蓄音機といったアンティークのお宝もある。バンド活動にも力を入れ、毎月第2、4土曜日午後7~9時、村すずの音ホールを借り、練習をする。「見学もOKです」
店の2階にはオーディオセットがあり、自慢の音を聞かせてくれる。楽器を演奏でき、カラオケが楽しめる部屋のドアの上には「社長室」の文字が…。根っからの音楽好きの奥原さんならではのスペースだ。仕事に趣味にと、常に周りは音があふれている。