産後のママ支える拠点に 安曇野の堀越より子さん「てのこころ」開設

一人じゃない頼ってほしい

実家が遠い、夫の仕事が忙しい─などの事情で、「ワンオペ育児」(一人だけで行う育児)をせざるを得ない母親たち。「子どもを見てもらい、少し休みたい」「食事作りが大変」「掃除まで手が回らない」など困り事は多いが、どこに助けを求めていいか分からない人も多い。
悩んでいる人の役に立ちたいと、助産師と看護師の資格を持つ堀越より子さん(54、安曇野市穂高柏原)が7月、産後の家事育児をサポートする拠点「てのこころ」を立ち上げた。
堀越さん自身、ワンオペで行き詰まった経験を持つ。子どもの虐待などのニュースがあると、心が痛む。助産師資格を生かし、「自分の本当にやりたいことは」と自問自答した結果が、この活動だという。

資格を生かし迅速な対応を

堀越より子さんが代表を務める「てのこころ」は、産後の家事育児を手伝うサービスを提供する。子どもの世話だけでなく、バランスを考えた食事、掃除など、助けてほしいことに幅広く対応する。育児休暇を取ったが、何をしていいか分からない父親と一緒に、家事育児をするのもメニューの一つ。6月に長野市から移住し、7月から始めた事業だ。
同市出身。助産師と看護師の資格を取得後は、千葉県で長く暮らした。子どもは3人。ワンオペ育児で泣いている子どもを見て「なんで泣いているの?」と聞きながら、自分も泣いていたという。「自分でやらなくてはいけない。子育てはこうあるべき」。助産師の資格が余計に自分を縛り、追い詰めた。
「このままではいけない」と気づき、外に出るようになった。ママ友もできたが、今度は子ども同士を比較するようになった。「今は意味がないと思えるが、当時は必死だった」と振り返る。
離婚を経験し、看護師として高齢者施設に勤めた。両親が高齢のため、2022年に長野市にUターンし、会社の寮で約20人分の朝食を作る仕事を始めた。「食事作りに関して、かなり鍛えられました」と笑う。
この間、自分を見詰め直した。「本格的に登山がしたい」「仕事ができてもあと10年。助産師に関わる仕事をもう一度したい」。両親が元気な今しかないと、山が美しくて近い安曇野市への移住を決め、「てのこころ」を始めることに。「やりたいこと、やらなくてはいけないことをしなかったら、後悔すると思った」
「地域みんなで子育てしよう」がコンセプトだ。知人の助産師とも協力し、ボランティアで育児相談を企画。10月25日に1回目を開く予定だ。母親や妊婦だけでなく、父親や祖父母など対象を絞り実施。1回目は父親対象で、妊婦体験や沐浴(もくよく)指導などを考えているという。
幼児虐待のニュースを聞くたび思うことがある。「一人で頑張ろうとするのではなく、人に助けを求めたり、手伝ってもらったりすることは悪いことではないと伝えたい」
一つの悩みが解決しても、次から次へと違った問題が出てくるのが子育てだ。「お母さんが一番困っているとき、迅速に対応したい。悩みや不安に一緒に向き合いたい。孤立してほしくない。行き詰まったら電話だけでももらえれば。相談を受けて、すぐに対応できる身軽さが強みです」
現在、幼児虐待についても勉強中。体や心がつらいときの、駆け込み寺のような存在を目指す。
午前8時~午後4時(時間外は要相談)。1時間2500円(リピーター割引あり)。インスタグラムのダイレクトメッセージに名前、連絡先を記入して送信すれば折り返す。