大町市南部地域包括支援センターの介護予防体操「信州そば切り音頭」が音健アワード受賞

地域が盛り上げて育ててくれた

大町市南部地域包括支援センターが普及を進めている、元々の踊りをアレンジした介護予防体操「信州そば切り音頭~骨(こつ)こつ南部包括バージョン」が、「音健アワード2025」(一般社団法人日本音楽健康協会主催)Community部門の最優秀賞を受けた。
歌と音楽を活用した秀逸な体操やダンス、活動を表彰。行政や地域活動団体などが応募できる同部門など全3部門に、全国から100作品余の応募があった。
誕生から6年、地元にすっかり定着した。体操に込めた願いは健康に加え、地域の元気と絆づくりだ。体操の動画には市内の多彩な職種や立場の人が登場し、地域を元気にと心を合わせる。職員らは受賞を「地域みんなで育んだ結果」と喜んでいる。

曲にほれ込んで体操にアレンジ

「自然に体が動いて元気になれる曲。運命的な出合いだった」。大町市南部地域包括支援センター所長代理の横澤いずみさんは、「信州そば切り音頭」にほれ込み、体操曲に選んだ理由を語る。
この曲は、「信州そば切りの店」認定制度を運営する信州そば切りの会が、十数年前に作った。軽快なメロディーと郷土愛にあふれた歌詞、そば打ち動作などが入ったユニークな踊りだ。「音頭」の発案者で作詞を手がけた松本市浅間温泉の山﨑良弘さんらを訪ね、熱意を伝えて許可を得た。
元の踊りをベースに、職員が試行錯誤して介護予防体操にアレンジ。高齢者が無理なくでき、骨粗しょう症予防につながる「かかと落とし」などの動きを取り入れた。大町市の夏祭りで踊る「やまびこサンバ」の振りを交えて郷土色も打ち出し、聞いて歌って踊って、3重の元気が得られる体操に仕上げた。
完成・初披露は2019年秋。普及させようとした矢先に、コロナ禍に見舞われた。集まる場がなく、活力が失われていく地域に向け、職員で結成した「スマイルダンサーズ」は、自分たちの体操動画をユーチューブに投稿。行動制限が緩和されると、サロンや体操教室などで体操を広めるようになった。養成したインストラクターたちも、普及を後押ししてきた。
次第に変化が現れてきた。「当初は私たちが体操を提案したが、今では集いの参加者が『最後は、そば切り音頭だね』『今日はそば切り音頭やらないの?』などと言ってくれるようになった」と横澤さん。

「大町を元気に」思い一つに笑顔

数パターン作った体操の動画は、大町市のPRを兼ねて職員が風光明媚(めいび)な市内各所で踊る。加えて、体操に取り組む住民のほか、警察や消防、駅、歯科医師会、薬剤師会、商店街連合会、寺社など、高齢者の暮らしを支える地元組織や団体の人たちも踊って登場する。「大町を元気にしたい」との思いを伝えて撮影協力を依頼し、いずれも快諾された。体操の域を超え、地域の絆を再確認するプロジェクトに発展した。
この動画を今年、初めて「音健アワード」に応募。県勢として、2018年の創設以来初の部門最優秀賞を受けた。審査委員は「冒頭で一面に広がるソバの花に目を奪われた。市議会議員、消防、警察という『お堅い』職種の皆さんの笑顔と、地域で暮らす人々の笑顔が重なり合って、自然豊かな地域の魅力と人々の結びつきの強さに感銘を受けた」と講評。職員は「地域の皆さんが盛り上げ、一緒に育ててくれたことの結晶」と感謝した。
活動の浸透や山﨑さんの縁もあり、体操は市外や県外、遠くスペインでも行われている。「ここは信州人もつながるそばの里」という歌詞のように、「意図せずすてきな出会いがたくさんあった」と横澤さん。「心を元気にする効果は、どの体操にも負けない自信がある」。地域の応援歌、元気のツールとして、今後も大切に育て広めていく。
体操動画はユーチューブで視聴できる。